こんにちは、ブクログ通信です。
ブクログスタッフによる最近読んだ本のコラム記事!
第6弾は、米澤穂信さん著『可燃物』のレビューコラムです。
ぜひ、この機会にお読みいただけると嬉しいです。
米澤穂信『可燃物』
あらすじ
余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。群馬県警を舞台にした、米澤穂信さん初の警察ミステリ!
普段ミステリを読まない人にもおすすめ、緻密に練られた上質な謎と真実
本なのに『可燃物』という洒落たタイトルの本作は、米澤穂信さんの最新作。主人公は葛警部といい、米澤さんの初めての警察モノだ。日常に降って湧いた謎にチャレンジするのではなく、「仕事」として事件へ立ち向かうシリーズは、『王とサーカス』などの太刀洗万智以来だろうか。警部として事件に何らかの解決が求められるキャラクター視点での進行には、独特の緊張感がある。
本作は5篇の短編集となっており、各短編ごとに違ったタイプの事件と謎に挑戦する。謎はある程度考えれば解けるくらいの難易度になっているため、普段ミステリを読まない方でも5篇のうち一つくらいは解けることだろう。ある短編などは、“読み終わった後であればわかる”遊び心あるヒントに笑ってしまった。各話でたどり着く真相と余韻も実に味わい深い。
この作品のもう一つの特徴は、意図的に抑えられた葛警部の描写にある。みなさんの周りにもいないだろうか。あまり世間話などはしてくれないものの、仕事の仕方で人となりが推しはかれる、もしくは滲み出ている方。読み終わった後、あなたは葛警部をどのような人物に感じただろうか?上司になって欲しいだろうか?
(文=ブクログスタッフ・nt)
おすすめ度:★★★★★
読みやすさ:★★★★☆
本格度:★★★★★
難易度:★★★☆☆
ブクログユーザーさんのレビュー
5つの話、全て類似した型で書かれてあるが全く飽きない。主人公の推理力に脱帽すると同時に、犯罪までの手口とそれを凌駕する推理力を構築した著者に敬意を表しますねぇ〜