【ブクログスタッフレビュー】村田沙耶香さん『コンビニ人間』

こんにちは、ブクログ通信です。

ブクログスタッフによる最近読んだ本のコラム記事!
第15弾は、村田沙耶香さん著『コンビニ人間』のレビューコラムです。
ぜひ、この機会にお読みいただけると嬉しいです。

村田沙耶香『コンビニ人間』(文春文庫)

コンビニ人間 (文春文庫)
村田沙耶香『コンビニ人間 (文春文庫 む 16-1)
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あらすじ

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。彼氏なし。ある日、新入りの男性・白羽がやってきて、そんな生き方は恥ずかしいと突きつけるが——。「普通」とは何かを問う衝撃作。

芥川賞受賞作!読めば心揺れ動かされること間違いなしの傑作

恵子のステータスは、世間にとっての「普通」ではないらしい。自分なりの生き方を模索し、コンビニ店員として精を出しているにもかかわらず、家族や友達、仕事仲間と、一見和やかな関係性の周囲から遠慮なしに日常を裁かれる恵子が、読んでいて何よりもやるせなかった。

物語の最中、恵子のある一言をきっかけに周囲の反応が一変する様子には、何やら恐怖に近い違和感が込み上げてくる。客観的に見て、恵子の方が「普通」なのでは?と思うものの、「自分にも周囲にとっての『普通ではない』ものがあるのでは……」という不安にじわじわと侵食され、それは読後しばらく尾を引くほどの威力を持っていた。けれども、こうしておすすめしたくなるのが、本作が宿す不思議な魅力だ。ぜひ、このザワつく読書体験を味わってみてほしい。

非現実的ながらも、どこまでもリアルな存在の恵子にズブズブと感情移入させられ、彼女の行き着く結末を見届けるまでは何としても目が離せなかった。最終的に恵子の選択した答えには、たとえ恵子の全てを理解できずとも深く納得させられるものがあった。

(文=ブクログスタッフ・ks)

おすすめ度:★★★★☆
読みやすさ:★★★★★
胸騒ぎ度:★★★★☆
言葉にできない引力:★★★★★


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