The Giver (The Giver Quartet)

著者 :
  • HarperCollins
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本棚登録 : 74
感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)

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  • Giverから記憶を受け継ぐことで、主人公の感情が現れてくる。感情が現れることで、その世界の人々がいかに無情であり、同一な人間に仕立て上げられているかが分かる。
    彼らにも記憶を与えるべきだとジョナスは考えた。しかし一方で、記憶を与えて感情を取り戻せば、人々はそれぞれ違う考えを持つ。そして、いずれそれが衝突するようになり対立し始めることも、彼は分かっていた。
    それでもやはり、コミュニティすべての人々が記憶を持っているべきだと、releaseの本当の意味を知って、一層実感する。ジョナスがあの後どうしたのか、コミュニティもGiverもどうなったのかは描かれていなかった。

    - 個人的に記憶に残った場面 -
    ・りんごの見え方が変わったシーン
    これは初めて色が見えたところだと思うけど、まさか色が見えていなかったとは思いもせずびっくりした。見えていないのが当たり前で、色という概念すら知らなければ、何が起きたのか分からないのかもしれない。

    ・receiverに選ばれたセレモニー
    ジョナスの運命が決まった。どれだけ名誉なことだと語られても、酷い苦痛が待ち受けているとしれば嬉しくないよな。

    ・giverのもとへ初めて向かう
    Giverとの初対面。痛みを伴う上にgiverは孤独だというから、厳しい人かと思っていたら、最後までいい人だった。

    ・rosemaryに起こったこと
    rosemaryがreleaseされたと知ったときは、外の世界へ逃げたんだと思っていた。後からrelease=死で、彼女が自ら命を絶つ場面をGiverが見ていたと思うと胸が痛くなった。与えた記憶や苦痛がなければ、彼女は死ななかったのも事実だからこそ、Giverは苦しんだのだろう。

    ・お父さんが双子の赤ちゃんにしたこと
    急にお父さんが怖くなった。感情がなく、ルールに定められたことを行なっただけだとしても、生まれたばかりの赤ん坊をすぐに殺せるのか。
    Fionaもまた、お年寄りをreleaseさせることは何を意味するか把握している。
    この時点でもうジョナスが信頼して話せるのはGiverだけになった。

    ・Gabをreleaseさせる?
    赤ちゃんを殺していることから、お父さんはreleaseが殺すことだと分かっていたはず。それなのに、ずっと一緒に過ごしてきたGabがreleaseされると分かっても、仕方のないことだと受け入れるなんて…。記憶がなければ、そこまで感情を失くせるものなのか。

    ・愛を知ったジョナス
    悲しいシーンや酷いシーンが記憶に残りやすいが、giverお気に入りの記憶を受け継ぐシーンは幸せだった。幸せな家族のクリスマスを覗いて、ジョナスは愛を知った。それからgiverに愛を伝えているのが、素直で可愛かった。

    ・rosemaryのもとへ
    ジョナスはコミュニティを出る計画をgiverと立てながら、何度も一緒に来てと懇願した。そのなかで、giverはジョナスに愛していると伝えた上で、全てが終われば娘のrosemaryに会いに行くと言った。解釈が正しければ、giverは死んで、あの世でrosemaryに会うということだと思う。ジョナスと2人で計画をしてそれが成功したとしても、giverにとってはrosemaryを失った時点で、この世界はただ記憶を抱えているだけの無意味なものになっていたのかもしれない。

  • 途中まではとても面白くて、どんどん読み進めていったが、ラストは微妙な終わり方だった。全四部作で、次に続くからなのかな?
    作品としては、貴志祐介の新世界よりに近いものを感じた。

  • The Giver 1993 

     ジャンル的にはディストピアもので、安全で均質な管理社会・全体主義の社会から少年が脱出する話である。半分以上がこの社会を描写していて、出産はBirtth Motherという職業の女性が行う。この女性はあまり社会的地位は高くない。三人の子供を産むと労働者として一生をすごす。家族はFamily Unitといわれ、委員会によって組織され、父母と子供二人と決められている。子供に自転車が与えられる年齢とか、どんなおもちゃで遊ぶとかも決められており、夕食のあとに家族で一日の感情を整理するなどの儀式も定められている。ちなみに、思春期になると錠剤がわたされ、性欲?は抑制されている。
     主人公はジョナスという少年で、物語はかれが12歳になる前から始まる。父は保育士、母は法律家である。このコミュニティーでは、12歳になると、委員会が配属をきめ、以後、その職業につくための訓練がはじまる。ジョナスは12歳のセレモニーで、the Receiverに任命される。これはコミュニティーの相談役であり、名誉ある職業である。その仕事は記憶によって政治を補佐することだ。ジョナスはReceiverの師匠、the Giverから雪や色彩、海などの記憶を転送され、痛みや戦争、愛情、(むかしの)家族などの状況を知る。そんななか、父が職場で双子の一方(体重が軽い方)をreleaseしているのを知ってショックをうける。releaseとは要するに薬物注射による死であり、コミュニティーに居場所がない子供や、規則の違反者、老人はリリースされるのである。このリリースの実態を知り、ジョナスはリリースが決まった弟(?)ガブリエルをつれて、コミュニティーを脱出する。最後はthe Giverから授かった雪の丘をソリでくだるイメージや、クリスマスの家族団欒のイメージなどがでてくるが、すこし抽象的な終わりでよくわからない。

    1993年の作品で、物議をかもし、一時期はアメリカの一部の学校図書館から撤去された問題作らしい。いろんな言語に翻訳されているが、ドイツでは全体主義を学ぶテキストにもなっているそうだ。続編が3作あり、The GIver Quartetというそうだ。最初の感じは、アーサー・C・クラークの『都市と星』みたいだと思った。こういう小説は社会システムを描写していくのであるが、この社会設定を読むのに苦労する。『都市と星』には爽快な解決があるが、この作品にはない。それから、設定が小出しにでてきて、ちょっと作者に付き合わされる感じがして、前半はとくに面白さに欠ける。後半1/4くらいは少し考えされられるテーマはある。

  • 色、感触、感情など、私たちが普通に受け入れているものが一切無いがとても安全なコミュニティーがあって、その住人たちにとってはそれが「普通」であったら?
    感情が無いから、夫婦になるのも親になるのもどんな仕事に就くのかも、何を着るのかも、すべてを与えられた通りにやっていく。死」さえも悲しむべきことではなく淡々と処理されていく。

    GiverはReceiverだけに過去の世界で人々が経験していたものをすべて伝えます。それは心の痛みを伴う作業。二人はコミュニティーのあり方に疑問を持ち、勇気を持ってある行動に出ます。

    何とも、いろいろと考えさせられる本でした。

  • 英会話スクールの先生に勧められてtry

    【ざっと内容】
    主人公Jonasは完璧に管理された社会で過ごす少年。
    その社会では持続性の維持のため、出生数、職業、各年代における教育がそれぞれ決められている。コミュニティの維持を脅かす内容は徹底的に排除されており、人々は他の選択肢があることも、歴史も、天気も、色も、苦痛も、戦争も知らない世界で生きている。
    そんな中、主人公のJonasに与えられた職業はレシーバー。世界が本来持っている歴史や苦痛の知識を受け継ぎ、コミュニティの有事の際は助言を行う役割に就くことになる。世界の真実を知っていくJonasはそれでも同じように過ごすことができるのか、コミュニティの真実とは!?

    【こんな人にオススメ】
    ・SF系小説が好きな人
    ・英語小説に挑戦したいと思ってる人
    ・これってどういう解釈!?って小説で議論したい人

    【感想】
    全体的に面白かった。序盤で若干ストーリー展開の少なさに苛立ちを思えるが、終盤は夢中になって読むことができた。個人的にはストーリー展開をもう少し早くして、終盤の情報量を厚くしたり、Jonas行動後のコミュニティをしっかりと描写して欲しかった。
    あとがきでは世界各地で、特にキリスト教国では議論を呼んだ一冊であったことが触れられている。完璧に管理され、職業を選ぶことができない、かつそれが当たり前になっていて疑問を持つような情報が一切入らないようになっている社会と現代社会、どっちがいいのか?日本の中間層で生まれ育った自分は後者のような気がしてしまうが、もしそうでない家庭環境や国で生まれてたらどうなんだろう。
    ズシッと考えさせられる一冊でもある。

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