- Amazon.co.jp ・洋書 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9780060509057
感想・レビュー・書評
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http://en.wikipedia.org/wiki/Travels_(book)
Contents
Medical Days (1965-1969)
Travels (1971-1986)
Sex and Death in L.A.
Psychiatry
Bangkok
Bonaire
Pahang
An Elephant Attacks
Kilimanjaro
Pyramid of the Magicians
My Father's Death
Ireland
London Psychics
Baltistan
Shangri-La
Sharks
Gorillas
An Extinct Turtle
Cactus Teachings
Jamaica
A Human Light Show
They
Seeing Headhunters
Life on the Astral Plane
New Guinea
Spoon Bending
Seeing Auras
An Entity
Direct Experience
Postscript: Skeptics at Cal Tech詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ここまで読むのに時間がかかった本は初めてだ。
というよりも、ここまで読むのにイラついた本も初めてだった。
ERをはじめとする、多くのフィクション・ノンフィクションの小説・映画・ドラマを手がけた天才作家も、一皮剥いたらサイコフリークかい!!!
最初のうちはよかったんですよ。
ハーバード大医学部時代の話とか、映画撮影の話とか、辺境の地への旅行の話とか、山登って死に掛けた話とか、お父さんとの確執とか、人間味あふれる話ばっかりで。
医学部時代の話は、こちらも考えさせられました。きっとこういう体験がベースになってERができてたりするのかな、と想像してみるのも楽しかったり。
旅行の話は、少数民族がいっぱいいるって聞いてわくわくして行ったら現代化されててまったく気づかなかったよーはっはっはとか、サメ怖いって言ってたけどもサンゴ礁の撮影に夢中になってて近くにいたのに気づかなかったよーはっはっはとか、ウミガメが産卵してるところで上に乗っかって記念撮影する中国人はダメだなーはっはっはとか、ああやっぱりあなたも白人なのね(苦笑)というレベルで。
お父さんとの確執は、葬式の話のときにちょっとほろりとしてしまった。こういう、ベーシックな感情に訴えかけるのには弱い。
で、outer travelsはよかったんだが、inner travel、これがクセモノだった。
出るわ出るわ、オーラ見ちゃったり(お前は美和明宏か)スプーン曲げちゃったり(お前はMr.マリックか)幽体離脱しちゃったり(お前はぬーべーか)前世がローマ時代のグラディエーターだって言ってタイムスリップしちゃったり(お前はラッセル・クロウか)。
どうやら彼は超能力の世界にのめりこんじゃったらしいです。
アメリカでは、政治家とか金持ちとか有名俳優のカウンセラーに超能力者がなるなんてのは一般的にあるらしく(サイコ系自己啓発の本だっていっぱい出てるしね)、でもCrichtonの今までの作品にはそんなの毛ほども感じなかった("Congo"は例外的にあった)から、彼みたいな科学者だけはこんなことはないと思っていたのに。
後書きで、「科学というのは世界を見る一つの視点でしかなくて、それだけじゃ不十分なんだ! 超能力は科学では解明されてないけど実在するんだ! 今後この分野がもっと注目されていくに違いない! 信じない君は一度体験してみるといいぞ!」なーんてほざいてました。ああそうですかはいお幸せに。
「この世界のことを本当に理解している人間はいない」
これはいいです。だって科学なんて仮説で成り立ってて、事象を式にあてはめてるだけなんだからね。
「量子論のすばらしいところは、本当は何が起こっているかの理解を放棄したところである」
まあそうかもね。実際何が何なんだか誰もわかってなくて、事象を式にあてはめてこれだけ発展してきたんだからね。
「サイコもこれと同じである」
やめてくれ。
「科学者が実験をする時だって、調子のいい時悪い時がある。それがなぜか解明されていないだろう? これの一種なんだよ」
同じにしないで。
なんだろう。こう、「サイコ」と言われるとアレルギーの如く拒否反応を生じてしまうのは。多分同じことを宗教の言葉に翻訳して言われたら、もっとマイルドな反応ができるんだけども。
それもある種のまやかしであって、サイコは時代によって表現方法を変えて連綿と続いてきたものだ、というCrichtonの主張はもっともなものだと思うんだけども、現代のサイコは「人間崇拝」のように見えるところで、たまらなく胡散臭く感じる。
「本当の自分を探す旅」にオーラとか前世へのタイムスリップが必要なのか甚だしく疑問なところです。それともこういうのは、心霊現象がテレビのネタ以上にならなくて、かつ昔から八百万の神を持つ日本人と、アメリカ教に支配されているアメリカ人との違いなのかしら。わからない。
ああ、こういうこと言ってると、多分Crichtonに「何も知らないくせに批判するな」と言われるんだろうな。
言われてもいいです。私には私の自己啓発方法があります、きっと。
もしそれがCrichtonのinner travelと本質的に変わらなかったとしても、彼みたいな手段・説明はされないに違いない。
死者の悪口を言うのもなんですが、今回ばかりはがっかりした。というよりも、今回は純粋にソリが合わなかっただけだろうと思って諦めよう。
inner travel以外の部分は非常に面白かったので☆2つ。
さっさとDan Brownの新刊を買うに尽きますね。 -
1980年代のLAでは「スプーン曲げパーティ」が開かれ、あっちでもこっちでも一般人がスプーン曲げに興じていたという。驚きである。クライトン自身スプーン曲げができ、幽体離脱も子供の時からやっていた。子供の頃、父親に嫌われていると感じたクライトン少年は、自分の身を守るために自分で守護霊を作ってしまったらしい。
クライトンは人があまり行かない場所を旅する。マサイ族との出会い。巨大ウミガメの産卵。マウンテン・ゴリラの生態、キリマンジャロ登頂やカラコルム探検等。彼の旅は自分を知るための旅、インナー・トラベルである。心霊術への興味も、動物への興味も根は一緒。本当の自分を知るための手段である。こうした旅の過程で、彼自身の臆病な性格や、高所恐怖症や、観念依存症、完全主義等、いろんな側面が露呈される。それを逐一報告して行く正直さが、貴重であり、作家にしては珍しい。
二読、三読する価値がある。
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Crichtonの作品の中では一番好ましいもの。いつでも眺める角度を変えたら「旅」してるんだ。
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半分以上単語が分からないのにとうとう読破しちゃいました。それくらい面白い。児玉清オススメ。