Zen and the Art of Motorcycle Maintenance: An Inquiry Into Values

Robert MPirsig

• Mariner Books (2006年4月25日発売)

感想・レビュー・書評

[johnnycakeさんの感想 · 2019年5月3日]

息子を後ろに乗せてバイクでアメリカの半分を縦断する一方ギリシャ哲学や禅の教えに触れながら価値観について考察する話。Phaedrusと名付けた過去の自分の哲学探究と現実のバイクでの旅が色んな意味で繋がっている。冒頭のバイクに対する彼と友達の関わり方の違いを引き合いに出して価値観を語るあたりは面白かったし、７０年代当時の西洋の価値観をClassic対Romanticとした上で、東洋の禅を持ち出し、どちらでもないがどちらとも通じるものであるQualityを語るあたりも良かったと思う。バイクのメンテなどの繰り返される作業を単に必要なものとしてただ行うのではなく、Qualityを意識しながら行うというあたりの話は、片付けコンサルタントの近藤麻理恵氏の「ときめき」に通じるものがあるのかも？と思ったりした。最後の２５％は大学でのギリシャ哲学の授業がかなりの部分を占めていたので、ギリシャ哲学の素養がない私には正直どうでも良かったのだけれど、著者がその時の挫折をひきずっていたからこそこの本が書けたのだろうなとも思った。