Unbearable Lightness of Being (Perennial Classics)
- Harper Perennial Modern Classics (2005年5月7日発売)
- Amazon.co.jp ・洋書 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9780060932138
感想・レビュー・書評
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チェコスロヴァキア出身でフランスの作家ミラン・クンデラの作品を初めて読んだ。友達のイアンに今年の誕生日プレゼントにもらっていたのだけど、性描写が過激過ぎ、しかも、主人公トーマスの女ったらしぶりに困惑するばかりで、しばらくほったらかしていた。
夏休みで時間があり、また開いてみた。そしたら、急におもしろい。東ドイツの歴史を中心にこの夏読んだからか、プラハの春からソ連軍のチェコ軍事介入そして統治下の流れ、また、トーマスの愛人の恋人フランツの向かったカンボジアとタイの国境のマーチでのアメリカプロパガンダへの批判など、東ドイツの歴史とベルリンの壁崩壊にかぶるところが多く、興味深かった。
この小説の邦題は「存在の耐えられない軽さ」。はじめはなんのこっちゃと思うけど、ソビエト支配下での言論統制、秘密警察による思想制限で名声ある医師のトーマスが瞬く間に窓拭きに転落する過程で、公共のスペースでの存在の軽さが語られる。また、トーマスが何人もの愛人と関係を持つことで、愛されたいと願うテレザの存在も軽い。
哲学的なベースにニーチェが大きく取り上げられる。私はあんまり詳しくないのだけど、全てのものは永遠に繰り返すという流れに、このストーリーは、だけど個人の生は一度きり。集団的に見て、または他にして見たら存在の軽い個。その儚さと、一人に一度しか与えられない生。だからこそ、一つ一つの決断は重い。というようなことを訴えるように思える。
また、筆者が後半投げかける「くそ」(誰もが目を背けたい人間の汚い部分)を隠して、それを見ないように綺麗な言葉で飾り立て、その上に関係や社会を築いている。そういった意味ではコミュニズムもキャピタリズムも変わらないというアイデアは、今まで読んできたディスコースアナリシスに通じるところがあるなと思う。
章だて、時間軸の組み立て、分析コメント。今まで読んだ小説とは違う組み立てで、それも勉強になった。
面白い本!もう一回きちんと読みたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
映画のファンになっても原作も読みたくなることがあまりない私が読まずに居られなくなった本。
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The idea of eternal return is a mysterious one, and Nietzsche has often perplexed other philosophers with it:
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多くの翻訳家は、Michael Henry Heimの翻訳を読んで、愕然とするのではないか。Kunderaも好きだが、MHHの英語のコマンドは、いやはやため息ものです。
なので、多分オリジナルであるチェコ語でよんでもいいのだろうけど(ちなみに私はチェコ語は微塵も知らないので評価は出来ないが)、英翻訳によって質が落ちていることは、まずないと思う