- 本 ・洋書 (429ページ)
- / ISBN・EAN: 9780061776458
感想・レビュー・書評
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物体を小さくするという技術の大前提はどうかと思いますが(そうとう無理があるぞ)、What ifから始まってディテールを詰めていくクライトン節のドラマ作りはさすがです。これがほんとに最後の作品、残念です。
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故・マイケルクライトン氏の遺作。GWや夏休み、アウトドアに絶好の時期にお勧めの一冊。
小学校の頃にジュラシックパークを読んで以来、クライトンノベルは欠かさず読んでます。ばったばったと人が死んでいくストーリーに嫌気がさす歳になっても、荒唐無稽さにのめりこめる歳を過ぎても、彼の本を読むと少年時代(正確には少女時代なんですが)のわくわくが戻ってきます。
早くして逝かれてしまったのが非常に残念。
さてこの遺作ですが、
「honey I shrunk the kids」という映画が昔ありましたが、あれをもっとリアルかつ真面目に描いた感じです。ドラえもんのスモールライトみたいなものを真面目に科学的に発明しちゃった大人たちと、その技術によって小さくされた挙句(ありんこより小さい)大自然の中にほぼ丸腰で放りこまれちゃった学者の卵たちのお話。自然や生き物(主に虫)に関する専門知識を駆使して生き残りをかける彼らは、無事にもとの大きさに戻ることができるのか・・・?!という。
善意の世紀的発明が、一転恐怖の凶器となる。巨大組織の陰謀、もろに巻き込まれる数名の男女・・・。生命や自然の摂理を知った気になって色々操ってる人類よ、一歩まちがえばパニックだよほんと!でもやめらんないよねわかるよ!!だって面白いもんね!!というクライトン氏の天の声(?)がぐいぐい聞こえてくる、氏らしい一冊。
ミクロの世界の描写が非常に鮮明で、かつ新鮮で面白い。私は虫がほんとに苦手なんですが、彼らの目線の世界を知る、という面白さにいまさらながら心をつかまれました。
自然の中を散歩中、土の上で立ち止まって、足元をじっと眺めたくなる。この親指大の空間の中に、どれだけの生物がひしめいてるんだろうって。
また、主人公たちがそれぞれかなりマニアックな学者で(蜘蛛の専門家に甲虫の専門家、生物毒の研究者に・・・という風に)、普通に考えたら恐怖に慄きそうな光景を前にしても目をらんらんと輝かせちゃったりして。こまかく専門的に分析しちゃったりもして。そういうマニアックさがまた面白かった。私の周りにも研究者いますが、たしかにこういう生き物だな。
主に言葉の通じない虫なんかが相手のサバイバルゲームではあるんですが、結局のところ一番怖いのは人間だよね、というところに落ち着く。虫やこうもりに悪意はないからね。無益な殺生はしないからね彼ら。
そして文字通り弱肉強食な世の中で生き抜けるのは、リーダーシップがあるやつとかじゃなくて身体にサバイバルスキルがしみこんでるやつなんですね。あと死守したいとお互いに思いあってる人間が傍にいるやつ。
MichaelCrichtonの作品





