The Brilliant Life of Eudora Honeysett: A Novel

著者 :
  • William Morrow Paperbacks
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本棚登録 : 9
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・洋書 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780063026070

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  • ほっこりした気分になれるような話が読みたくて選んだ本。

    身体の衰えを日々感じながら、病気や痛みなんかに苦しみ出す前に、自分の死に方くらい自分で決めたいという強い意思を持っている85歳のEudora。周りと深く関わることを避け、なんでも一人でこなすのを好む彼女は、自分の人生の終わり方として、スイスでの安楽死を希望するようになる。施設の担当者や医師に積極的に問い合わせをしたり、「本当にそれがあなたの望むことなのか?ただ鬱状態でそんな事を言っているのでは?」と彼女の真意を確かめようとする彼らの言い分を遮り、着々と手続きを進めようとするEudoraだけど、隣に引っ越してきたとびきり明るくて個性に溢れた10歳の少女Roseと、最愛の妻に先立たれた近所に住むStanleyとの友情が、彼女の毎日に彩りを与えることになり、彼女の頑なだった心をほぐしていく。そんな現代のタイムラインと並行に、Eudoraの生い立ちや大好きだった父親との思い出、疎遠になった妹Stellaとの確執、母親とEudoraの関係性なんかが昔の視点から語られる。献身的で優しくて働き者で、正に幸せになるべきはずの彼女に次々と降りかかる悲劇は、読んでいて悲しくなったし、Eudoraがどうして今のように頑なな性格になってしまったのかが徐々に明らかになる。

    ラストはまぁ、こうなるんだろうなぁ…というのは、あらすじを読んだだけでわかるんだけど、「十分長生きしたし、死に関与した苦しみを体験する前にこの世を去りたい」と願うEudoraの気持ちはわかる気がする。でも、話の中に登場するDeath Doula (出産時に妊婦をサポートするドゥーラの存在は知っていたけど、終末期のサポートをするドゥーラがいるのは知らなかった…) が言っていたように、痛みや苦しみがない死や、救急車や病院の中ではなく住み慣れた自宅で迎える死、そして自分の愛する人達に囲まれて迎える死のような、いわゆる”good death”というのは、死に対する恐怖や不安や要望を周りに話し、シェアすることで可能になる、という考えが新鮮だった。そしてその為には、信頼出来る人達と常にコミュニケーションが取れる環境を確保しておかないといけないよなぁ、というのも再確認した。歳を取ると、その環境の確保こそが難しくなってくるんじゃないかと思うんだけど、それは常日頃から心掛けておかないといけないのかも。

    物語が進むにつれて、周りに感化されてだんだんEudoraの刺々しい言動がまぁるくなっていくのが微笑ましかったし、自分の気持ちに素直になることを認めた彼女が最後に愛する人達に囲まれている姿を想像して、期待通り胸がほっこりした。

  • Eudoraは85歳。家族も友人もいない一人暮らし。日々健康に気をつけて暮らしてはいても肉体の衰えは明らかで、人の世話になってケアホームで一生を終えるのはゴメンだとスイスで安楽死をすることを望んでいる。
    ある日隣に越してきた元気で物おじしない10歳のRoseは、Eudoraの色のない単調な生活をカラフルに彩り始める。
    ーー
    Eudoraは一見偏屈で孤独を愛する老女だが、その人生は幸せが手の隙間からこぼれていくような出来事の連続で、ただただ可哀想だった。献身的で優しく忍耐強い女性なのに、それが報われないむなしさ。
    最初の偏屈な部分は自分の40年後を見ているようだと思っていたしEudoraには共感しかなかった。彼女の感じる苛立ち、疎外感、そして自己犠牲と諦め。最後は文字通りのハッピーエンディングで、とうとう彼女の人生が報われた瞬間だったと思う。
    死生観、家族とは、友人とはといろいろと考えさせられ、かつ優しい気持ちになれる本。

  • 家族のことを父に託され
    家族の幸せに心を尽くして来たEudora
    でも、その人生はいつしか
    自分の気持ちを封印し
    責任感の呪縛でいっぱいに。

    85歳になった彼女は
    自分の死を
    自分の思い通りに完結させることで
    初めて人生を選択できると考えた。

    彼女の孤独、悲しみを知れば
    確かにその気持ちもわからなくはない。

    でも人生は
    本当に最後までわからない。
    大切なものをみつけたら
    勇気を出して心を開こう。
    日常に小さな希望を見つけられる
    そんな優しい物語に胸が熱くなった。



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