Saturday

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  • Amazon.co.jp ・洋書 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780099469681

感想・レビュー・書評

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  • やっと終わった、、、医学系用語など出てくるとまさに七転八倒。
    内容はある災難の凝縮したとも平凡とも言える土曜日のお話。クラプトンとも繋がりのある息子とか微妙に無理が見える設定など多少雑なのかな?と思わなくはないが、社会に生きるとは文字通り他者との交錯であり、折り合いをどうつけるか?がそれこそ死まで続く課題ということ。この作家らしくシニカルにも見える感じでなかなか面白い。
    しかし一番の感想は、日本に生きる人間だったら自然との関係性も絡めるんだろうなということかな。あくまで人間本位という理性の探求と人間にはどうにもできないという諦念からくる境地、グローバルになったと言ってもやはり相違というのはあるもんです、当たり前なんですが。

  • いつまでたっても主人公に感情移入できない。Mrs Dallowayのほうが断然おもしろい!

  • 「アムステルダム」でブッカー賞を受賞したイアン・マキューアンの最新作。イギリスではベストセラーになったそうです。私は今回英語学校の授業で読みました。
    ロンドンに住む脳外科医のある一日を描いた作品で、そういう意味ではウルフの「ダロウェイ夫人」を彷彿とさせます。文体も、より読みやすい(比較にならないくらい)ながら「意識の流れ」を意識したものになっています。

    ここでのある1日とは2003年ロンドンで大規模な反戦デモがあった日のこと。しかし主人公は戦争に賛成ではないながら、フセイン政権は倒すべきだし、どうせ戦争は避けられないとも感じていて、デモには懐疑的です。

    彼は非常に優秀な外科医で、家族にも恵まれ、物質的にも不自由ない生活をしていて、理知的で良心的な、近代的「いいひと」です。彼に欠けているのは文学を理解し楽しむ心くらい。

    この日彼はちょっとした交通事故にあい、友人とスカッシュをし、老いた母をホームに尋ね、夜に集まる家族のために魚介類のシチューを作ります。そのすべてが細かく描写される中で、今のロンドンの様子や、主人公の漠然とした不安、科学にたいする信奉、イスラム教(をとりまく文化)に対して感じる違和感などが浮かび上がってきます。そして、ある事件が起こります。

    それまで信じていたものが揺らいだとき、何に支えを求めるか、人はどう生きるべきか。ある一瞬で主人公が別人のように悟りを開く物語ではありませんし、「アムステルダム」のようなプロットにうなる作品でもありません。が、小説の最初の一文がカフカの「変身」を思わせることからもうかがえるように、主人公の中で何かが変わります。

    ペダンティックでありつつやりすぎ一歩手前で抑える手際もいつもながらお見事。リアリティに関しても、以前の作品同様ギリギリでありうる感じを保っていると思います。9.11を機に何かが終わってしまったことを描きつつ、メッセージは意外にも古典的でストレート、だと思いました。

    作者の前作"Atonement"の感動に一歩及ばなかった点で星4つにしましたが、非常に良かったです。(その後他のレビューとの比較から、結局星5つに評価を修正しました)

  • 翻訳は出ていない著者の2番目に新しい小説.真面目にポスト911の先進工業国の都市生活者を描くとこうなるのかな.面白いけど,主人公がインテリすぎな気がします.

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