本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- 本 ・洋書 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9780099502708
感想・レビュー・書評
-
警官に重傷を負わせた罪で服役し、刑期を終えて出所したVictorだが、未だにあの発砲事件は相手の警官のせいだと思っている。撃たれたほうの元警官は下半身不随となったが、本を出版したり、恋人がいたりと幸せそうなのも気に入らない。全体を通してVictorの身勝手で都合の悪いことは皆他人のせいにする病的な心理を描いている。この男の頭の中なんか知りたくないと思いながら、しかし、こういう人間っているんだろうなぁという嫌な気持ちで読み進めた。
この思い込みの激しさと他人の言うことに全く耳を貸さない語り手はアイリス・マードックのThe Sea, the Seaを思い出させた。話はほぼ全編Victorの視点から語られているので、他の登場人物がどれも薄っぺらい感じ。それがVictorと世界の繋がり方の象徴なのだな。健常者であるVictorが車椅子に乗って移動する場面が数回出てくるのだけれど、車椅子に乗っているときと普通に歩く時では周囲の反応が全く違っていて、実際そうだよなぁ、と思いながら読む。詳細をみるコメント0件をすべて表示
全1件中 1 - 1件を表示
RuthRendellの作品





