The Secret History: From the Pulitzer Prize-winning author of The Goldfinch

著者 :
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本棚登録 : 10
感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・洋書 (640ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780140167771

感想・レビュー・書評

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  • 閉鎖的な古代ギリシャ語のクラスの学生たちが仲間の一人を殺すところから話が始まる。6人しかいないクラスがどうやってその仲間の一人を殺すに至ったのか、残った5人がその後どうなったのかを追って行く話。アメリカ社会の中にある階級意識およびエリート意識が、かなり熾烈。金持ちであればあるほど実は家族に縛られて身動きがとれない様子が痛々しい。結局エリートでありながら、誰も幸せになれていない。

  • 年下のお友達からのプレゼント。「羊たちの沈黙と迷ったんだけど……」との言葉通り、のほほんふわゆるな本ではありませんでした。
    カリフォルニア出身のリチャードの視点から語られる、大学での一連の出来事。あくまでも、リチャードの視点のみで描かれる個々のキャラクターが素敵です。世間からずれているんだけど人間味があって、どこか魅力的で、でも何かが「普通」じゃなくて。
    クラシックを専門とする大学生たちの話なので、ラテン語やギリシャ語の引用、ローマ神話にギリシャ神話、基本的な知識を持っていないと読めないような箇所が少しあって、本を片手にネット検索したりしました。
    終わり方もきれいで(変にドラマチックにしたり、無駄に辻褄を合わせようとしていなくて)好感は持てましたが、いかんせん、ハッピーエンドではないので、ううん、と唸ってしまいます。
    悪人の出てこない犯罪の関連する話は、読んだ後が大変です。
    ヘンリーにフランシス、カミラとチャールズの双子。それにバニー。色んな登場人物に思いを馳せて、なんだかやりきれない思いになってしまったり。
    結局、一番の「悪」は(「弱」でもあるかもしれない)ジュリアンなんじゃないだろうか、とか。

  • プロットがよくできているため、次はどうなるのか、最後はどうなるのか知りたくてなかなか本を手離せなかった。長編を読み終わった時の、独特の、ずしりとくる読後感もあった。にもかかわらず、手放しに賞賛できないのは次のような理由による。
     1)大学のギリシャ文学専攻の学生たち六人が仲間のバニーを殺してしまうところから始まる。前半部の三百ページほどはなぜバニーが殺されてしまうかというところがサスペンスになっている。
    このギリシャ文学のクラスは厭世的で、自分の教え子のみをエリートとして扱う変わり者の教授、ジュリアンが教えている。主人公で語り手であるリチャードもこのエリート集団に受け入れられるのは容易でなかった。バニーとリチャード以外はみな裕福な家の出で、優秀で(リチャードはこれにあてはまる)、洗練されているのにバニーはdyslexiaで勉強もできず、無神経な粗忽者だ。私はそんなバニーがそもそもなぜこのエリート集団の一員だったのか納得できなかった。バニーが殺された後、五人はそれぞれちがった形で罪の呵責の苛まれる。リチャードも含め「あんないい奴を殺してしまった」と感じるわけだがバニーには最初から少しもいいところがないように描かれている。だから五人の苦悩に、感情移入に必要な「もっともらしさ」が感じられなかった。
     2)リチャードが回顧して物語るという形をとっているため、バニーの死から始まるがこれ自体が一つめのクライマックスを最初から明かしているため、インパクトが弱まっている。また回顧形式でなければいけない理由もない。直線的な時系列で語られた方がいいと思う。
     3)人間くさいバニーとその対極のようなクールなヘンリー、語り手であるせいもあるだろうが控えめな性格のリチャードの三人はいいとしても、残りの二人のフランシスとチャールズがキャラクターとして弱い。彼らはプロットの流れに大きく関係する主要人物だからもっと深く描かれるべきだ。一方でその他の登場人物の数が多く、重要でない人物が不必要に掘り下げて書かれていた。特にバニーの葬式の前日に登場するコーコラン家の人々および嫁たち、子どもたちの行動は、どうしてそこまで?というディテールで描かれている。物語の最後でこうした瑣末な登場人物がどうなったか語られるが読者は興味ないのでは?と思った。バニーの元ガールフレンドがバニーの兄弟と結婚したとか、生まれた子どもはバニーというニックネームで呼ばれているとか、ハリウッド映画の結末のようにcornyだと思った。
    登場人物の扱い以外にも全体的に詳細に過ぎ、そのために読者の注意がそがれてせっかくのサスペンスが弱まっているように思う。留置場からでてきたチャールズとリチャードがソフトドリンクを買って飲むシーンがあり、「赤と白の縞模様のストローで」とあった!
    著者の人間心理に対する洞察力および表現は優れていて、それが彼女の作家としての技量の一つだと思う。だから余計なディテール(読者サービスというより彼女のself indulgenceの結果だと思うが)をそぎ落として、人間心理に焦点をしぼった中短編を読んでみたいと思う。

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