Winesburg, Ohio (Penguin Modern Classics)
- Penguin Classics (1992年9月1日発売)


- Amazon.co.jp ・洋書 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9780140186550
作品紹介・あらすじ
Anderson profoundly changed the American short story, transforming it from light, popular entertainment into literature of the highest quality. His art belonged as much to an oral as a written tradition, and, as this collection shows, the best of his stories echo the language and the pace of a man talking to his friends. They explore with penetrating compassion the isolation of the individual and capture the emotional undercurrents hidden beneath ordinary events.
感想・レビュー・書評
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一回目に授業で読んだ時は意味がわからなすぎて笑い飛ばした。
でもきちんと読み返してみて、なんて切ない物語なんだろうと気付いて胸がいっぱいになった。
小さな閉塞された田舎町Winsburgの人々は若い青年George Willardに夢を託す。
彼らはみなかつては輝かしい時を送り、一度は自己実現や愛や友情の達成を試み、そして失敗した人々である。
その経験を若いGeorgeに語ることで誰もが自分の叶わなかった夢を若い青年に託している。
この街は悲しみの縮図だ。どんなに必死で伝えようとしても人々の言葉はすれ違い、やがては一人で死ななければならないということをこの街の人々は痛感していく。
わかりあいたい、わかりあえない。わかりたいし、わかってもらいたい。だからこの街の人たちは酒を飲んでみたり、真冬の街を疾走したり、青年を殴ったりしてしまうのだ。
痛々しいほどにその強い願いは主人公を変えて繰り返し描かれ、そのたびに失敗する。
この街の希望の象徴たるGeorgeに女教師Kateが伝えようと努力する"The Teacher"という話がとくに好き。Georgeも「彼女が本当に伝えたかったなにかを理解しそこなった」ということだけははっきり感じている。漸近線を描くこのせつなさ。
イントロで紹介されているmiscommunicationについての言葉が胸に響いたのでここに引用しておく。
"Words, are the nets through which all truth escapes."
"Yet what do we have but words?" −Paula Fox
最後Georgeは母を亡くし、街を出て行くことを決意する。見送りにはGeorgeが驚くほどたくさんの人たちが来ていて、それがいかにこの街にとって彼が希望であるかを表わしている。(George自身はそのことには気付けていない、というのがまた寂しいのだけれど)
−"Good Luck"。街の人々は心から願うのだ。かつて失った自分自身の夢のため、そして目の前の青年のために。
テキストは彼の旅立ちのシーンで終わっているが、Georgeもまたいつかこの街の人々と同じように失望を味わい、その経験を誰か若い人間に伝えようとするだろうということがわかる。ほのかに切ない予感をさせるラストシーンは秀逸である。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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