- Amazon.co.jp ・洋書 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9780140278774
感想・レビュー・書評
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セールで買って積んであったんですが、村上春樹関連で話題だったりしたので、この機会に読んでみました。
"Brave New World"とならぶdystopia物の名作、と言われているし、実際大きな影響を残した作品なんだと思います。
誰もがこれを知っていることを前提に書かれた小説もたくさんある、古典ですよね。
SFにありがちなことですが、正直、私はストーリーは面白いと思いませんでした。
登場人物にもさっぱり感情移入できませんでした。主人公もヒロインも、どちらかというと嫌いです。
面白いのは世界観ですね。
世界観を余さず描写するために主人公が動かされているだなんでしょう。
世界中が3つの大国に分かれた近未来1984年(執筆は1948年)。ロンドンはオセアニアに属していて、イギリス共産党の独裁下にあります。
一般市民は外国とは没交渉で政府の与える情報を鵜呑みにするしかない。どこにいても24時間監視の目が光り、突然同僚や家族が消える(多分政府に消されている)ことが日常になった世界。
町中にBig Brotherと呼ばれるリーダーのポスターがあふれ、だれもがBig Brotherを「敬愛している」。誰も彼に会ったことはないのだけれど。
世界観の白眉はdoublethinkという考え方と、Newspeakという新言語で、これを理解するためだけでも一読の価値ありです。
旧共産圏の状況はこれとよく似ていただろうし、今でも日本のすぐそばにもこんな感じの国があって、管理社会の恐怖を良く描いているとは思います。
ある意味日本にだってこういう側面はあるのかもしれません。人間誰でも、多かれ少なかれdoublethinkしながら生きているんだと思うし。
でも、Brave New Worldのほうが、今の日本にずっと近くて、その分背筋が凍る感じがありました。
比べてしまうと、個人的にはBrave New Worldのほうがおすすめ。詳細をみるコメント0件をすべて表示