Pollyanna Grows Up (Puffin Classics)
- Puffin Books (1996年8月1日発売)
- Amazon.co.jp ・洋書 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9780140367584
感想・レビュー・書評
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邦題「ポリアンナの青春」
高校生の頃だったか、昔読んだPollyannaは良かったなあという話を友人としていたら、この物語には続編があるんだということを教えてもらいました。
彼によると、その続編は、なんと主人公の善意がすべて裏目にでるというシニカルな物語だということで、私はショックをうけました。いまでも覚えているくらいだから、衝撃はけっこう大きかったんでしょうね。
でも、もしそれが本当だとしたらすごい。一度は読んでみる価値がありそうです。作者はどういう心境の変化があったんでしょうか。
そういう期待をしながら、本書を読んでみましたが、な~んだ、ちっともそんなことありませんでした。
あれはデマでした(笑)
おい、よくも数十年間だましてくれたなあ。
というわけで続編「Pollyanna Grows Up」では、相変わらず主人公PollyannaのGlad-Gameが続きます。
物語は、彼女がサナトリウムに行った後からの続きです。
看護婦Dellaが、人生に希望を失った姉Mrs Carewがふたたび生きる気力を取り戻すように、サナトリウムで知り合った少女Pollyannaを姉の家に呼び寄せようと思い立つところからはじまります。
しばらく一緒に住むことになったPollyannaのおかげて、Mrs Carewは次第に活動的になっていきますが、ここらへんの展開は前作の繰り返しなので、マンネリ感はやむおえないところ。
登場人物の境遇が変わったり、20歳になったPollyannaを描いたりと、新たな展開をいろいろと工夫していますが、どうも作品のデキとしてはイマイチ感がありました。
というのも、前作では、純真無垢な少女の善意の塊のようなGlad-Gameが新鮮で、読む人を素直に感動させていたのですが、続編になってくると、どうしても一つの疑問を抱かざるをえなくなるからです。
とくにスラムの場面を取り上げたことによって、次のような単純な疑問をいだきます。
なるほどPollyannaのGlad-Gameは素晴らしい。それは人生を生きるのに勇気を与えてくれるだろう。
でも所詮それは個人的な物の見方に過ぎなくて、根本的な問題はどうするんだろうか。
スラムにすむ住民にとって、Glad-Gameで日々の苦難を忘れるのはいいけれども、そもそもの問題、社会的貧困の問題、構造的な貧富の問題はどうするんだろうか。
そこに目を向けないGlad-Gameは、不平を言わず、いまのままで我慢しろということにしかならないのではないか。宗教は阿片であるのと同様の意味で。
そういう単純な疑問を生じるわけですが、もちろん、作者はそういう危ない問題には深入りしません。
貧困問題の解決は金持ちのご婦人方のボランティアに任せ、物語はPollyannaの恋愛物語に進路を転じ、最後はハッピーエンドで幕を閉じます。
もちろんそれが悪いといっているわけではありません。別にここで、深刻な社会問題を扱った物語を読もうとしているわけではありませんから。
でも、最後までGlad-GameになじまなかったようにみえるAunt Pollyの苦渋に満ちた生活は現実のわれわれのよく知っているところですから、そういう中途半端な続編を書くぐらいだったら、できることなら最初のPollyannaのままで、健気で心温まる物語、美しい宗教的な童話として完結してしまったほうが良かったのではないかと思わずにはいられません。
う~む。9-12歳児用の本だというのに、何難しいことを言ってるんだろうオレ。前作に続き表紙は相変わらずダサすぎ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
Pollyannaの続編。Pollyannaの言動のせいであらぬ疑いをかけられたPendletonにちょっと同情してしまいました。