- Amazon.co.jp ・洋書 (112ページ)
- / ISBN・EAN: 9780140620481
感想・レビュー・書評
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む、む、む、むちゃくちゃ面白かった・・・。
身体がワナワナした。
多くの人が傑作としてこの本の名前を挙げるのももっともだと思う。
最後の方、カーツの恋人との面会シーン。ほんのりと後光が差しているかのようなカーツの貞淑な恋人と、死の淵で闇を覗き込むカーツの声。光と闇、のはずなのに、彼女が何か言うたびに、逆に部屋の中は夕闇がひたひたと増していく。やがて二つの声は二つともだんだんとボリュームを増していって、最後にマーロウの脳裏で吹き荒れる嵐みたいにシンクロする。
読んでいてぞくぞくした。
小説を読んで乗ってくると、いつもは映画のような実写映像が浮かぶのだけど、マーロウが「あの声が聞こえないのか!?」と叫びそうになるシーンでは、少女漫画的手法で描かれた漫画のページが浮かんだ。記憶と会話が錯綜し、主人公が混乱する内面を描いたページ。
萩尾望都さんの作品のクライマックスシーンみたいな。
少女漫画ってこういう場面を描くのが得意だと思う。
とにかく、全編通して、隙を見ては忍び寄ってくる得体の知れない生き物のような闇の描写がたまらなかった。
全然古さを感じなかった。
ちなみに、この本を読もうと思ったのは、マイケル・オンダーチェの『映画もまた編集である―ウォルター・マーチとの対話』を読んだから。
この本の中で、『地獄の黙示録』の撮影中に、マーロン・ブランドが「カーツなんて名前は司令官ぽくなくておかしい! リーレイ大佐がいい!」と言ってゴネて聞かないので、監督が折れて、仕方なく途中まで「リーレイ大佐」で撮影した、とあった。なのに、ある夜マーロン・ブランドが『闇の奥』を読んだらしく、次の日いきなり「やっぱりカーツ大佐がいい!」と言い出して、また戻したらしい。名前以外にもいろいろ反発していたマーロン・ブランドが、本を読んだ後はすっかりおとなしくなったそうだ。この印象的なエピソードを読んでから、その『闇の奥』っていったいどんな本なんだ?とすごく気になって読みたくなった。
ところで、この作品はすでにパブリックドメインになっていてテキストが簡単に手に入るので、なら英語で、と読み始めたのだけれど、私のしょぼい英語力では文章が難解過ぎて、頻繁に「あの、すいません、いま何の話しているのかさっぱり分かりません」状態に陥る。医者に頭の大きさを測ってもらうあたりで一度挫折して、しばらく放置していました。
でも、先日、spark notesという某有名学習サイトに、「modern English translation」を発見! オリジナル→Modern Text→再度オリジナル、の順で読むと、難解だった文章が驚くほどすんなり頭に入ってくるので非常に助かりました。
今ブクログの記録を見たら、「ウォルターマーチとの対話」を読んだのは2018年の3月、その直後に読み始めたから、1年以上放置していたのか・・・
同じような理由で止まってしまっている人には現代語訳の参照、超おすすめです。日本語版を参照するよりむしろ分かりやすいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あの地獄の黙示録の原作
設定や背景は違うものの本質的には同様に素晴らしい作品 -
闇の奥
発展途上と先進という考えは、じつはにわとりとたまごの法則。