- Amazon.co.jp ・洋書 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9780141014081
感想・レビュー・書評
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著者の父親であるブラディックが、ポーランドでアンジャと出会い、結婚、そして著者の兄弟となるリチューを出産するも、ナチスの侵攻によってユダヤ人が排除される中で、ゲットーに送られ、ハンガリーへの脱出を試みるも失敗、ナチスに捕らえられ、アウシュビッツに送られるまでを描いた第一巻と、アウシュビッツでどのように過ごし、戦争終結後に再びアンジャと出会うまでを描いた第二巻を合わせたもの。
あらすじは上の通りだが、特徴的なことは、全ての登場人物がユダヤ人はネズミ、ドイツ人はネコ、ポーランド人はブタ、アメリカ人はイヌのように動物として描かれていること。もう1つは、現在の父親の普段の様子が、父親と著者自身、再婚相手とのやり取りを通して描かれているところ。
印象的なことは、まず今の父親がリアルに今の生活をしているという様子が描きこまれている点。再婚相手をののしり、息子に愚痴をこぼし、あるいは近くのホテルでビンゴをやったり、スーパー店長とやりあってお得な買い物をする、など、アウシュビッツを生き延びたという壮絶な過去とは一見切り離されたところで生活しているということだった。もう1つ印象的なことは、動物だけに表情が乏しく、起こっていることの割に淡々としている感じが、余計に事態の恐ろしさ浮き彫りにさせている点だった。
いくつかホロコーストの本は読んだし、おれ自身もアウシュビッツを見たので、ゲットーや収容所の様子は何となく知っていたが、それでも衝撃的なことは、まずゲットーから子どもを連れ出す時、泣き喚く子どもの脚を握って壁に叩きつけたという話(p.110)(でもこの話は確か『戦場のピアニスト』か何かで読んだ気がする)、ユダヤ人であることを隠して路面電車に乗ろうとすると、子どもが「助けて!ユダヤ人だ!」と叫び出す話(p.151)(一体なんでユダヤ人って分かるんだろう、あと子どもの頃からそういう教育をされているということの恐ろしさ)、ガス室で死に切れなかったら、既に死んだ人と一緒に穴に埋められて、ガソリンをかけられて焼かれ、さらによく焼けるように死体からでた油をまたかけられる描写(p.232)、だった。あとこれもよく言われる話だが、アウシュビッツに入れられて泣いている時に、同じ収容者の牧師がやって来て、その囚人番号はラッキーだ、お前は絶対生き延びる、と言ってくれ、 I started to believe. I tell you, he put another life in me. (p.188) というところは、極限状態を生き延びるのに希望があることが生命力をもたらすということ、さらにその状態で自分はどうあれ人を励ます人がいるということが、人間の凄さだと素直に思えた。
それでも、そういう生活をして来て、今のその父親がいる、アウシュビッツでの生活が父親をそうさせてしまった、という部分もとてもリアルで、静かに伝わってくるものがある感じの本だった。(17/07/16) -
収容所で生き延びた父に
息子は苦悩する。。。
ピューリッツァー賞受賞作品。
必読! -
お父さんたくましい(*‘ω‘*)!
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