Animal Farm (Penguin Essentials, 94)

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  • Penguin UK
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  • Amazon.co.jp ・洋書 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780141036137

感想・レビュー・書評

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  • 支配者層の欺瞞がわかりやすく書かれている傑作。

    無知は弱者になりうる。

    平易な英語で書かれていてとても読みやすい。動物関係の単語はいくつか難しいが、数時間で読める程に短い。

    昨今、増税、物価の上昇、コロナ渦など様々な問題に直面しているタイミングで読めて良かった。できれば学生の頃に読んでおきたかったとさえ思う作品。

  • George Orwellの代表作と言えば、この前読んだ"1984"と、この"Animal Farm"。オーディオブックの朗読を聴きながら目読書でも読んでみたら、ナレーターが醸し出す素晴らしい臨場感とダブルで楽しめて良かった。

    人間に支配され自由が奪われている生活に嫌気が差した農場の動物達が、農場主を追い出して、どの動物も平等な場所を作ろうとする。でも、狡猾な豚達が他の動物達を搾取し始めて、農場のシステムが正に豚による独裁政権のようになっていく…という話。豚の間でも勢力争いがあったり、知能の低い動物達が豚の言いなりになってこき使われ、労働状況が悪化している事にも全く気付かなかったり、閉鎖的な空間でじわじわと独裁者が権力を確かなものにしていく様が描かれている。ついこの間読んだ "Blindness" でも、危機的状況下では同じ人間という種の中でお互いに争ったり、権力を得て相手よりも自分が優位に立とうとする姿が描写されているけど、最初から『どの動物も平等に』なることを目指していても、結局は豚が権力を握って他動物を搾取するのがなんともリアル。農場のそんな推移が、なんというかすごく自然な流れで書かれているのが凄い。"1984"の中に出てくる、周りの状況や今までの歴史的事実が政府によってころころと書き換えられる毎日に(表向きには)疑問を抱くことなくさっさと順応していく洗脳された人々の姿と、何を言われても素直にそれを信じ切って結果的に搾取されていく動物達の姿が重なる。こういう風に、洗脳されている事実に気付かないうちに洗脳されてしまっているのが地味に怖い…。

  • 大好きなGeorge Orwellの作品でもトップを争うほど大好きなのがこのAnimal Farmです。
    最初の印象は牧場に住んでいる動物の話・・・ですが、これが物語が進むにつれ非常に興味深くなっていきます。
    Orwellは1920年代のロシア革命と牧場の動物をひっかけながら物語を進めていきます。
    最初は人間を追い出す事を目標にする動物達ですが、力を得た豚、Napoleon(=Stalin)が他の動物達をどんどん荒く扱っていき・・・
    最終的にはその豚たちが人間のようになってしまうという、衝撃的な結末。
    この動物があの人だな、と推測しながら読むのも楽しいです。

  • この本は世界各国で読まれているが、一方でその昔、「ソ連のシステムへの露骨な悪口が過ぎる」という理由で発売されなかった国がある、と聞いたことがある。
    実際読んで、私も全く同じ感想を持った。

    筆者であるジョージ・オーウェルは若い頃マルクス主義に賛同し、義勇兵となってスペイン内戦に参加したが、その後思想が変わり共産主義批判へと転じた。
    私が彼の作品を読む限り、彼自身の中の後悔や自己批判、つまり若かりし頃の自分が誤った(とその後思うに至った)思想に耽溺していた、という心理が、必要以上にある特定のシステムを批判し攻撃する動機になっているように見える。
    そのオーウェルの作品を、冷戦下の西側社会が必要以上に称賛し、共産主義批判の代表的作家へと持ち上げたのだろう。

    この作品が悪いとは思わないが、世界の小説のうちまだ日本語訳の出ていないものの中で、本作同様かそれ以上に読むべき価値ある作品はいくらでもある。

  • ディストピアの傑作。1984の方がより深い示唆があるが、アニマルファームも良い。根源的な問題として、どうしてautocratを人々が選んでしまい、騙されていくのかということを考えるに良い本。結局、無知(無知に至る怠惰・諦め含め)が一つの問題と考えられる。

  • 有名すぎて話知ってたけど、何気に読んだこと無かったので履修しました。うんうん、超典型的、すごくオーウェルですごくモダンクラシックだった。もう読んでる間ずーっと先の展開が分かってたけど読みやすかった。よい。

  •  本作、言わずと知れたディストピアもの。作者の代表作『1984』と共に20世紀を代表する小説であると言っても過言ではないと思います。

     人間の横暴を止め、動物の世界を立ち上げるべく反旗を翻した農場の動物。農場での獣による支配を確立し、人間を忌み嫌い、平等を謳うも、次第に豚だけが支配者層へとのし上がり、労働や支給品に格差がつき、さらにはかつて自ら禁じた人間の習慣(ベッドでの睡眠、飲酒、二足歩行)を徐々に取り入れ、巧妙に大衆をコントロールし行為を正当化する様がまざまざと描かれています。最終的には他の動物を殺戮し、あれほど嫌った人間たちと取引すら行うようになります。気付けば大方の動物たちにとっては以前の人間支配時よりも苛烈な生活になってしまいます。

     こういう作品を読むと、記録が大事だとつくづく思います。
     動物農場では7戒が制定され納屋の壁に刻まれますが、支配者層である豚が自らの慣習の変化に併せてこれを改ざんしていきます。”No animal shall drink alcohol to excess ”, “No animal shall kill any other animal without cause”(後ろの2語が改ざんにより追加)。大分意味合いが変わります。
     被支配者層の動物たちは自分の記憶をたどるも、確信が持てず、結局直近の目の前の7戒を受け入れざるを得ない。そうした中で被支配者層の労働はどんどん理由をつけて重たくなっていきます。
     
     改ざんというのはデジタルの社会では一層簡単になりました。その点では一層、記録の保持というのは重要ではないかと思ってしまいます。海外に行ってしまった私ですが、20年程払った年金掛け金の記録が年金機構側に残っていなかったらどうしよう、などとちょっと心配になりました。証明できないとないものになりますねえ。。。

     英語は難しかったです。動物の種類や体の部位に関する名称、動物の動きにまつわる動詞は頑張って調べました。Boar(n)雄豚、Sow(n)メス豚, foul(n)仔馬、hoof(n)ひづめ、muzzle(n)豚の鼻などなど。
     文体はやや風雅?な書きぶりで倒置が多かったり、いわゆる関係代名詞が多用されており、プレーンなビジネス英語と比較するとややとっつきづらさを感じました。
     短編なので何とか読めましたが、内容を味わうだけなら日本語でも良いと思いました笑

    ・・・

     本作は、第二次世界大戦終戦前に書き上げられ、英国とソ連との同盟関係から出版が見送られたというのは知りませんでした。そのエピソードからも分かる通り、ソ連の共産主義への揶揄ともいえる寓話となっています。
     いちいち教訓を引き出して読むこともないですが、支配者層の巧妙な欺瞞を思い起こすという点で秀逸な作品だと思います。英語学習者、政治に興味がある方等々にお勧めの作品です。


  • もう誰からも搾取されない。
    自分たちの国をつくろう。
    こうして反乱を起こすものの、いつのまにか独裁政権に。国民がそれに気づいた時には、時すでに遅し。権力は肥大し、国民は反乱を起こす体力もなく、再び搾取されていく。

    実世界において見覚えのある光景であり、皮肉の効いた寓話だ。ここから独裁政権、共産主義について考えるヒントがたくさんある。

    特に法律の改正が怖い。
    いつのまにか政権側に対して都合の良い法律になっている。でも法律だから従わなければならない。

    無関心や法律が間違っているはずがない、という思い込みは危険。知ろうする努力(=権力を監視)をしないと、とんでもない方向に進んでいることがある。民主主義は権力を監視できる制度なのに、今の日本においてこれが正常に機能しているのかは甚だ疑問。


  • ジョージ・オーウェルの名作、電子書籍で無料で読めてハッピー

  • 共産主義の陥りやすい罠を、平易な文章で描写していて読みやすいし分かりやすい。でもどこかでSnowballが戻って来て、正義を行なってくれるのを期待して読んでる自分がいたので、最後はちょっと残念。

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