The Book of Why: The New Science of Cause and Effect

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  • Amazon.co.jp ・洋書 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780141982410

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  • Pearlさんの因果推論の教科書には "Causality" 『統計的因果推論』共立出版や "Causal Inference in Statistics: A Primer"『入門 統計的因果推論』朝倉書店 などがある.特に後者は,例題も同じものが多い.
    私は,これらの教科書を見て,とりあえず「十分性の確率」とか計算はできるのだが,それが「必要性の確率」とその意味するところの違いは全く分からなかった.この本を読んで,事例を元に因果推論の概念定義がどうしてこうなっているのか,またその意味するところがやっと分かってきた.
    こうした確率論に基づいた内容を詳しく説明するとともに,因果推論の歴史的な逸話を紹介する読み物としての側面もある.ピアソンやフィッシャーなどの著名な研究者や,壊血病やコレラといった話題が詳しく紹介されている.

    1章:Ladder of Causation 因果の階梯 は二つの量の変化に繋がりがある「連関」,一方を変えるともう一方に影響する「介入」,現実には起こらなかったもしもを扱う「反事実」の3段階を紹介.この階梯の2段や3段に上るミニチューリングテストやdo演算子などの基本概念も紹介.

    2章:ゴルトンやフィッシャーによる相関関係の誕生の歴史がまず紹介される.そのあと,因果の依存関係を示す図を始めてライトが示すが,RCT以外では因果は分からないとするフィッシャーと対立して注目されなかったころの話題.

    3章:同時分布を複数の条件付き分布で表すベイジアンネットと,交絡や媒介といった概念の紹介.その他,ベイズは,国教会の信者でなかったため大学への入学を認められず不遇だったが,死後に友人が手記を出版してくれて歴史に名を残す逸話などがある.

    4章:原因と結果の両方に影響するため,偽の因果関係に見えてしまう交絡因子の紹介.また,do演算子を使って,具体的にどう問題を解決するのかの例や,パスをブロックするという有向分離の概念が示される.

    5章:タバコが肺癌の原因かという論争を通じて,介入できない状況で因果関係を明らかにできるかという問題についての議論を紹介する.パイプタバコが大好きなフィッシャーは,肺癌と喫煙習慣の間に喫煙遺伝子という交絡の可能性を主張して因果関係を否定したらしい.

    6章:パラドクスの殿堂として,モンティホール問題やシンプソンのパラドクスを紹介する.これらが誤りであるかだけでなく,なぜ誤った解釈をしてしまうかの理由も紹介しないと,納得は得られないというのは示唆に富む.

    7章:バックドア規準とフロントドア規準という構造因果モデルでも複雑な内容の紹介.ここを読んでやっとバックドア規準をなぜバックドアというのかやっと分かった.加えて,スノウのコレラと井戸の逸話には続きがあり,この逸話を元に操作変数法が紹介される.

    8章:因果の階梯の3段目の反事実が登場する.前半はRubinの因果モデルに必要な無視可能性条件は成立しない例が示される.後半は,法学におけるbut-for原因とproxmate原因の例を元に,因果推論の十分な原因と必要な原因について紹介.私は今までこれらを全く分からなかったが,この例でやっと分かってきた.

    9章:UCバークレイの著名な入試問題の例を挙げて,媒介変数の扱いの難しさを紹介したあと,介入の効果を,直接的なものと,間接的なものに分ける話題.簡単そうだが,反事実まで導入しないといけない,実は込み入った話というのが分かる.

    10章:前半は他のデータを使うtranspotability や選択バイアスの問題を構造因果モデルで解決する話題.後半は強いAIや自由意志についての議論.自由意志の有無ではなく,それをたとえ幻想としても認識することによる工学的利点から議論するのは面白かった.

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