Metamorphosis and Other Stories: (Penguin Classics Deluxe Edition)
- Penguin Classics (2008年2月26日発売)
- Amazon.co.jp ・洋書 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9780143105244
感想・レビュー・書評
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飛行機の乗り継ぎで数時間空いたので、アトランタの空港で買って読んでいた。英語の本を読む自信は無かったのだが、カフカのだいたいの話は頭に入っているし、カフカはプロットは難解でも文はきっと簡潔なものが多く、描写も複雑ではないから読めるだろうと思った。訳者はイギリス人。冒頭にやや長めの序文もあり、カフカに一家言あるのがわかる。コンテンツもかなりの充実ぶりで、17$で短編と中編をほぼ網羅的に読むことができるので安いくらいだと思う。
読んでみて、知っている話については、もちろんわからない単語は出てくるもののそこは記憶で補えた。乗り継ぎの時間潰しとして十分に楽しめて満足している。また知らない話もかなりあって、これらは後でじっくりと辞書を引きながら読もうと思っている。
英語という言語の特性か、あるいは私が非英語話者だからそう感じるのかもしれないが、ところどころの単語が呪術のように力を持って感じられた。特にHunger-Artist (断食芸人)の終盤に出てくる〝its own freedom ″とか〝its love of life ″という表現は、日本語ではサラサラと読んだはずだが、ここではより何か引っかかる表現に感じた。
良かったのは、上記の断食芸人のほか、掟の前(Before the law)、皇帝の使者(A message from the Emperor)ある学会報告(A report to an academy )など。11人の息子(Eleven sons)は英語教材としても優秀だと感じた。
蛇足だが、変身(Metamorphosis )でザムザの見た目を思いっきりCockroachと表現してしまっているのは、カフカの意図に反する気がするのだがどうだろうか。
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