Nudge: Improving Decisions About Health, Wealth, and Happiness
- Penguin Books (2009年2月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 8580001056876
感想・レビュー・書評
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大竹先生の著書からある程度の予備知識はあったが、Nudgeの定義が思っていたより広くて、逆にそのアイデアの特異性が薄れてしまうように感じた。
Libertarian paternalismの本質は「企画者が意図した通りの行動を無意識に起こさせること」と理解した。カフェテリアのレイアウトを変えたり、確定拠出年金の申込書にデフォルト設定したりまでは良いが、従来我々がincentiveと呼んでいるものやcap&tradeまでNudgeと言うのはさすがに定義を広げ過ぎだと思う。
もう一つ行動経済学に対する疑問は、コロナ対策を始め様々な政府系プロジェクトにこの分野の専門家が関与している割には、その成果が全く見えない事。そんなに有効な手法ならあちこちにNudgeを取り入れて社会をもっと良くできるはずなのだが、Stay Homeにしても何ら有効な対策が打たれていないように感じる。行動経済学に過大な期待を持つべきではなく、その効用は限定的だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
Nudgeとは肘でつんつんツツクという意味の英単語
従来の経済学で仮定されている完璧な「経済人」ではなく、愚かな間違いを度々おかす「人間Human」をデフォルトの設定などによりどうNudge=良い方向へ持っていくかについてかかれれている。
元来自分は「経済人」の発想に懐疑的であり、前半の社会心理学的な部分は非常に面白いが、第二部に入り、保険や年金の話になってくると、無理やり話をNudgeに適合させているような感じをうける。そして退屈。