- Amazon.co.jp ・洋書 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9780156007757
感想・レビュー・書評
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選択課題図書リストに入ってて、かつディストピアン小説に興味があったから読んでみたら、大当たり。
一文をコンマなどで長くつなげていたので、途中から主語を忘れてしまいそうになったくらいです。会話文の書き方も独特で、あえてクオテーションマークを使わないでいるところ、地の文と同じ文や入れてしまうところがよかったです。
話はみんなの目が見えなくなる、というものです。前述の文体がその盲目状態とうまく符合していて、読者自身も盲目の中にいるような気分になれました。
人間の醜い部分をリアルに描いていて、すごくよい作品だったと思います。 -
高校時代に初めて手にとって以来、何度も何度も読み返している本。
視界が真っ白になる伝染病が、世界中に広がっていく。政府は患者の隔離を行うが、秩序は乱れ、人間の汚い部分がむき出しになってく。
見えないことをいいことに、いかに文明は堕ちて、人間性は堕ちていくのか。
非常に冷めた視点で、世界のなれの果てを眺めてる感じ。凄く背筋凍る。
全てが空想、でもこれはシュリールの世界だよね。
少数の抑圧抹消と、抑圧される人たちの中での秩序崩壊。
「見えない」ことは、力にもなるってこと。悪い意味での。
文体が独特。ピリオドもクオーテーションマークも使わずに、とにかく何行も一息で読ませにかかってくる。
どれが誰の発言か、どこで一文が切れてるのか微妙なこともあるけど、緊迫感あって好き。
blind people who can see, but do not see.
白い闇が去った後、世界が目にするものはあまりにもあっけなくて、でも真実。
瞳で見えるようになっても、でも見えてないものが多いんじゃないかって恐怖。
なんか一時期絶版になっちゃったらしいけど、去年あたり映画化されました。私的には映画より本の方をお勧めします。