The Storied Life of A.J. Fikry: by the Sunday Times bestselling author of Tomorrow, and Tomorrow, and Tomorrow
- Abacus (2015年4月23日発売)


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本 ・洋書 (320ページ) / ISBN・EAN: 9780349141077
感想・レビュー・書評
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新しい年をこの本で迎えられて良かった。
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本屋にまつわるストーリーを読むのが好きということで、前に何度かタイトルを目にしたことがあるこちらを読んでみた。あまり前知識もなく、『特にパッとしない生活を送る本屋の店主が、何かがきっかけでまた人生に意味を見出してゆく』系の話だろう、と読み始めたら、まぁそれはほんとにそんな感じだったんだけど、最初から最後までしっとりゆっくり進んでいくペースも嫌じゃなかったし、逆にそのペースと、のちに大切な存在になる2人の女性に出会ったことで頑固だった主人公の店主の性格がじんわりと丸くなっていく過程の描写が、一人の人間の人生をしっかり表しているみたいだった。架空の島にたった一店しかない本屋の存在が、最後にはたくさんの人にとって特別な場所になっていくっていうのも、本好きとしては嬉しい。
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アメリカでも日本でも評判高いと聞いたので、図書館で原書を借りて読んでみたが、微妙…
まだ比較的若い女性作家であるらしく、GoogleやAmazon、果てはMatch.comまで登場して現代らしさを感じさせるところがあるが、e-book readerとだけ表示してKindleとは書いていないのが、アメリカでは多様なデバイスを使っている状況を示しているのだろうか。
書店へのノスタルジーが基本なのだろうが、そこに捨子養子、恋愛模様、代作、ミステリー等々色んな要素をごった煮で入れてくるのが、やや未消化のところがあり、特に個々のプロットとの接続がうまく処理されておらず唐突感が残る。この辺は、韓国の脚本家たちのほうがよほどうまく処理している。
ややスノビッシュに色んな本の紹介を入れているところも、英米作家のものばかりで、海外作品は僅かに長くて読み切れないものとしてのプルーストくらいになっていて、遺憾ながらアメリカの平凡な読者の閉鎖的な傾向をまともに反映しているような感じがする。ポルトガル語の名作本「アルケミスト」が今頃になってNYTのベストセラー上位に延々と名を連ねているところでも、アメリカの読書界の閉鎖性が垣間見える。
これを読むと、随分昔に読んだ「チャーリング・クロス街84番地」の、なんとも言えない書物への深い愛着と趣味の良さとの違いを、しみじみと感じさせてくれる。
GabrielleZevinの作品





