Orani: My Father's Village
- Farrar Straus & Giroux (2011年7月19日発売)


- Amazon.co.jp ・洋書 (32ページ)
- / ISBN・EAN: 9780374356576
感想・レビュー・書評
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行き交うあの人にもある故郷。都会の人間を嫌いになれなく、なる。
翻訳コンクールの課題作品として読んだけれど、訳しづらいことこの上ないし、面白くないなぁと感じた。批評したい点は以下の3点である。
1.語りの視点の曖昧さ
父親の故郷、イタリアの村で過ごした日々を語るのは少女だ。しかし全体は過去時制。彼女が一体いつ・何歳で語っているのかについては、読み手の想像に一任されている。読み方によっては、単なる老いたノスタルジーにとどまってしまう。エンディングが素敵なだけに、これは勿体無い。
2.スピード感の欠如
淡々としすぎている感じがした。わくわく感や不思議に心を捉えられないと子どもには受けないのではないか。想定読者が至極あいまいだ。
また、前項とも繋がるが、様々なエピソードの描写が生き生きとしておらず、全体を通して思い出話という印象に留まっている。少女が育まれ成長させられたことにもっと力点を置いて良い。そのためのスピードの緩急、語りの引力が足りない。それは曖昧さからきていると考えられる。
3.絵の視点
絵本は文章と絵の相互関係から成ると思っている。そのフィット感とズーム、視点にズレがある。主人公はどの子なの?1番見て欲しいのはどこ?逐一もやもやしたりして。せめてもう少しかわいく、文章にあるような麗しい自然が描かれていればなぁ。控え目に言っても子どもにとって魅力的ではないとおもう。
込められているメッセージは、だけど素敵で、大切なものが詰まった原風景を大事にしたいという思いは伝わる。
名作にできたかもしれないのに、残念。悔しい。
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