The Reader: A novel (Vintage International)
- Vintage (1999年2月26日発売)
- Amazon.co.jp ・洋書 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9780375707971
感想・レビュー・書評
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当時住んでいたモントリオールで和訳は手に入らなかったので、2008年の10月末にNYで、日本語版を買ってきた。
原作は独語。フランス語版と英語版と日本語で並行して、一章づつ読んでいたが、2008年末に映画が公開され、観に行く前に読み終わりたいと思っていたので、時間が無くなり、仏語版だけ、映画に行く前の日に読み終えた。英訳も仏語訳も和訳もすばらしかった。
戦後、主人公が強制収容所を訪れる場面では、以前みたドキュメンタリーなどの映像が蘇ってきて、胸が痛んだ。裁判で反論する場面では、予期しなかった彼女の言葉に唖然とした。
映画も原作のイメージを崩すことなく、よくまとまっていた。映画館で観た後、DVDでも観たが、静かながら力強かったように記憶している。
第二次世界大戦の悲劇を、いつもと違う側面からみせてくれた作品だと思う。
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飛行機の中で映画で見て感動し本も購入。本を読んだ友達数名は誰にも感情移入できずといっていたが、私は主人公に感情移入。3部構成で文章も美しい(気がする。判断できる程英語得意じゃないので^^;後で知ったが原書はドイツ語で英訳されたらしい)。何かが心に残るというわけではないが、読んでいるその場その場で単純に心動かされる本。二人とも自分に正直で頑な。作者の体験という情報も。
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洋書第2弾。
原作本とか思って頑張って読んだのに、実は原作はドイツ語であったことに読み終わってから気づく。日本語で読めば良かったし…。
映画を見てないので誤読があるかもしれませんが、面白かったです。
<内容>
15歳の少年が失読症の女性と関係をもって、本の読み聞かせという儀式を通して深い関係に陥って行く。しかし、女性が突然姿を消し、数年の後に二人が再会した場所は裁判所であった。時間と距離を隔てて読み聞かせという儀式は継続するが、二人の関係はもう元に戻ることはなかった。
<感想>
15歳の少年の鮮烈な初体験とそれが後にトラウマという形で彼の人生を狂わせるほどに強大な影響力をもって描かれている。この影響力は彼女の身勝手なまでの強さの象徴という感じで映画版のキャスティングはぴったりだったのではないかと思わせる。(映画は見てないけど)思春期に形成された偶像なのか、真実の愛なのか、といったテーマと共に、戦争犯罪というテーマも取り上げられており、考えさせられる。
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著者は何を一番訴えたかったのだろう?
愛の美しさと儚さ?
人間の尊厳、愚直さ、そしてむごたらしさ?
正義と不義?
そして最後は 愛情に対しての報いとしての無情?
よもや年上の女と幼い少年のグロテスクな恋愛物語かと思い読み始めたが、いやいや、これは人間についての小説だ。人間誰もが持ちうる 強さと弱さ、惨さと美しさを見事に描いた小説だ。 性善説と性悪説の間を綱渡りしているかのようにページをめくっていき、読み終わった時には、何か、やるせなさと悔しさと悲しさと言葉にできない熱く重たいものが胸にずっしりと響いてきた。