Galapagos: A Novel (Delta Fiction)

KurtVonnegut

• Random House Publishing Group (1999年1月12日発売)

感想・レビュー・書評

[村越不正解さんの感想 · 2004年10月12日]

癒しの時代だからこそ、もっとヴォネガットは読まれてもいいのではないか。人類の終焉とその後を「ノアの箱舟」伝説になぞらえて描いたこの小説は、例えばステープルトンなどとは違い、一見残酷な様で内実は優しさとヒューマニズムに満ちている。「死刑台のユーモア」というとペシミスティックなイメージがあるが、ヴォネガットは最後に何か常に救いを残してくれている。本作も「タイタンの妖女」も「スローターハウス５」もそれは変わらない。