Obasan

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  • Amazon.co.jp ・洋書 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780385468862

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  • 日系カナダ人の歴史について、私はDavid Suzukiのドキュメンタリーで初めて知り、第二次世界大戦中、アメリカと同じように西海岸の日系コミュニティーが根こそぎそこを追い出され、インターンメントキャンプに入れられたというのは知識としては知っていました。

    だけど、「日系カナダ人」と聞いても、私にはぴんと来ないというのが正直なところでした。移住して5ヶ月。日本の多くの人が持つ一つの土地への強い愛着と、移住という結びつきが不思議になって、日系カナダ人のファーストジェネレーションと呼ばれる人はどんな気持ちでカナダに来て、どんな気持ちで留まったのだろうかと、思いこの「Obasan」を読みました。

    だけど、この作品に書いてあったのは、日系の人々が受けた想像を超える差別、不公平な扱いの数々、そして「静かに耐える」ことで戦後も自らを傷つけ続ける、被差別者たちの生き様でした。「私たちはカナダで生まれたカナダ人なのに、なんで敵なんだ?」「カナダで生まれた日系カナダ人を、ドイツで生まれたドイツ人よりも差別するのはなぜだ?」日系は、みな”Enemy Alien”とされました。「こどものため」と繰り返し言い聞かせながら惨い社会・家族にある”事実”を一切隠し、ひたすら生きる人たち。

    BCを追われた家族は刑務所やインターンメントキャンプなどでばらばらになり、また、終戦後もBCに帰る事は許されず、日本に帰るか東に定住するかという選択を迫られました。書類の意味が分からないIssei(一世)の人たちの中には、無理やりサインさせられ、日本に送られた人もいたそうです。

    「私たちはカナダ人だ。」という揺るがないステートメント。でも、家族やコミュニティーに残っているのはとても強い日本の文化と価値観。”OO人”というのは、本当に曖昧なものであり、また同時に、そうでないのだと本を読みながら感じました。キャンプに入れられ、家族はバラバラになり厳しい環境を強いられるのにもかかわらず戦争が終わったとき、”We won!”と喜ぶシーン、そしてそれでも終わらない日系コミュニティーへの差別の過程はとてもつらい流れでした。

    作品序盤に、主人公と祖母が一緒にお風呂に入るシーンがあります。お風呂のシーンはこの作品中ずっと登場するのですが、最初のシーンがとても私にも懐かしく感じられ、自分の祖母を思い出して、涙が出ました。

    とても読みやすく、しかも昨日眠れなかったので一日で読んでしまいましたが、生き別れた長崎からの母親の秘密が一層戦争の恐ろしさを伝え、考えがとまらず結局朝5時過ぎまでおきていました。

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