Tico and the Golden Wings (Knopf Children's Paperbacks)
- Dragonfly Books (1975年2月12日発売)
- Amazon.co.jp ・洋書 (32ページ)
- / ISBN・EAN: 9780394830780
感想・レビュー・書評
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レオ・レオーニ作。
話なんてどうでもよくなるくらいに絵が良い。表紙ではTICOが金の翼をひろげている。この翼がまた緑とよく合っている。
和訳版の書影では翼の色が黄色っぽいんだけどなぜわざわざ変える必要があったのだろう。
さて、このTICO、もともと飛べない。翼がない。だから仲間たちが食べ物などを運んでくれていた。
ところがある夏の夜。真珠のように青みがかった奇妙な鳥がTICOの背後に立った。
「私はのぞみの鳥(Wishingbird)。願いことをすれば叶うはずだ」
TICOは翼が欲しいと強く願う。すると突然閃光がまたたき、気がつくと金の翼が背中に生えている。
嬉々として空を飛ぶTICOだったが、なぜか仲間たちが良い顔をしない。美しい翼は手に入れたけれど、友だちを失ってしまった。
孤独なTICOは悲しげな人間の男を見かけその理由をたずねると、子どもが病気なのだが貧しくて薬も買えないという。TICOはそこで金の羽根を引き抜いて男にあげる。
以後、少しずつ、自分の羽根と引き換えに、さまざまな人に贈り物をする。そのたびに、TICOの羽は黒くなっていく。
ある日、すっかり黒くなった羽で仲間を探しにいくと、仲間たちはこころよくTICOを迎えてくれる。
「きみはもうぼくたちといっしょだね」仲間は言う。
それに対してTICOはこう思う。
「いまぼくの翼は真っ黒だ。でもぼくは友だちとは違う。ぼくたちはみんな違ってる。それぞれの思い出に、それぞれの見えない金の夢がある」
ふーんと思った。「持てるものは持たざるものに与えよ」的なたぶんキリスト教的な教訓の絵本なんだと思うけど、この本、日本的な文脈に置かれると、「出る杭は打たねばならない、特異性は捨てよ、そして社会にとって無害な個性を発揮せよ」、みたいなへんに皮肉めいた話になって、読後へんな笑いが漏れた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
どこかの国の昔話にでてきそうな、不思議な寓話です。
絵も芸術的で、素敵です。
最後のほうは、なんだか考えさせられるお話です。 -
2009年8月読了。