Double Deuce (Spenser)

  • G.P. Putnam's Sons (1993年4月1日発売)
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本 ・洋書 (272ページ) / ISBN・EAN: 9780425137932

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  • スペンサーシリーズ第19作目。

    Double Deuceはボストンの貧困層が住む地区にあるハウジング・プロジェクト(低所得者層を対象にした公団住宅)のあだ名である。22番地だからダブル・ジュース。そこを牛耳るストリート・ギャングたちを追い払うべく、ホークが依頼を受けた。ホークの助っ人としてスペンサーも行動を共にする。この界隈を牛耳るギャングのリーダーはメイジャーという少年。彼とホークの不思議な対決が始まる。そしてそれを追うテレビプロデューサーの黒人女性とホークの恋の行方・・・。

    珍しくホークに真剣な恋人ができる。そして今回は「ホークの仕事」をスペンサーが助けるという、普段とは逆のパターンである。ここでも常にクールを崩さないホーク。スペンサーとスーザンはそんなホークをあたたかく見守る。

    ボストン市の南部は今でも貧困層が多くて治安が悪く、銃による殺人事件が絶えない地域である。観光でやってくる人々が目にすることはめったにない地域である。この作品が書かれた頃、地元に詳しい人の車にのせてもらっていて、夜にこの地域を通過したことがあった。赤信号で止まるときも油断せず、車のドアはちゃんとロックしてあるか確かめていたその人の行動が印象に残っている。

    日本ではなかなかそういう地域がすぐそこにある、という現実がある地域は少ないと思うが、アメリカの大都市にはたいてい必ずそういうエリアがあり、皮肉なことに、それは高級住宅街からわずか数本の通りを隔てただけ、徒歩にして2-3分の距離であることも珍しくない。

    今でも夕方のローカルニュースを見ていれば90年代初頭に比べて数は減っているものの、ストリートギャング同士の抗争だと思われる銃撃事件や、巻き添えをくって犠牲になる人々の殺傷事件は後を絶たない。

    そういう問題を作者なりに切り取って一つの側面から見せてくれた作品である。色々と考えさせられるものがあった。

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