スペンサーシリーズの第33作目。
ボストン郊外の町の私立高校ダウリング校で二人の生徒が銃を乱射し、死傷者を出した。逮捕された少年の一人、ジャレッド・クラークの祖母はスペンサーに孫の無実を証明してくれ、と仕事を依頼する。
ジャレッドが乱射事件の犯人の一人であることは疑いようがなかった。しかし、動機がわからない。学校の関係者は口をつぐみ、高校の町の警察署長はスペンサーの捜査を阻もうとすらした。ジャレッドの両親も、もう一人の犯人ウェンデル・グラントの母も、息子たちと関わることを拒んだ。
州警察のヒーリーの協力を得て、それでもスペンサーは捜査を続ける。ウェンデル・グラントがジャレッドの金で銃を入手したルートもつきとめた。しかし動機がどうしてもわからない。
ひたすら情報を集め続けるスペンサー。やがて学校のカウンセラーのベス・アン・ブレアーの証言もジャレッドの同級生たちの証言とはつじつまが合わないことに気づいた。何かがおかしい・・・。
スペンサーの仕事はしばしば、依頼人の意思を超えて、スペンサー本人が真実を知るため、納得がいくまで、ということになるが、この話もそのそのケースである。
最後に解けた謎、なぜジャレッドがこんな事件を起こしたのか。その動機は衝撃的なものだった。近年のアメリカでは、高校で生徒による銃の乱射事件が何度も起きているが、その原因はたいていいじめだったりする。しかしこの話はまるで違う動機によるものだった。そして、その動機もまた、最近はしばしばニュースで報道されるような内容だった。
ジャレッドがどうなるか、パーカーは語らずに物語を終わらせている。しかし、読者としては色々と考えさせられる結末であった。