- Amazon.co.jp ・洋書 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9780451524935
感想・レビュー・書評
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WAR IS PEACE
FREEDOM IS SLAVERY
IGNORANCE IS STRENGTH
Until they become conscious they will never rebel, and until after they have rebelled they cannot become conscious.
Freedom is the freedom to say that two plus two make four. If that is granted, all else follows.
KLの紀伊國屋で1984を発見。おすすめされたので読んでみた。
何の知識もなしに読み始めたけど、なんだか何かを彷彿させるような状況だなぁって。。。未来の日本か?って。
Doublethink(二重思考)というワードがNewspeakとして表れているのが衝撃的。論理が破たんしていても、訳わからなくてもそれはDoublethinkなのです。論理破綻でもなく、虚構でもなく、それはDoublethinkという概念の中で堂々としていられる論理。2+2=4なのは世界的常識というか真理なんだけど、それすら2+2=5だと言えば、Yes。2+2=3だと国が言えばYes。
色々な記憶の欠片や経験により、国の全体主義に一人だけ懐疑的な主人公のWinston。自分がおかしいのか、はたまた周りや国がおかしいのか。
過去は修正され、人々の思考は単純化し、労働階級は労働階級として上に上り詰めることなく、戦争の歯車としてただ生きていく存在とする。
それは、一部の上層部(特権階級)の人達がいつまでも権力を保持し続けるため。国を支配し続けるため。
労働者はバカでいてもらわなくちゃいけない。
労働者は無知でいてもらわなくちゃいけない。
何にも疑問を持たず、必要な時に手足を指示通り動かせる人間を生産することが国のミッション。
常に監視された社会の中で、Juliaと恋に落ち、その中で自分の中の懐疑心を心だけで留めず、行動に移し始めてしまう。
それはとっても人間らしく正しいことなのだけど、この世界では罰せられる。捕まり、拷問され、思考を正しく矯正させられる。
いっそ殺された方が楽なんだけど、拷問され続け思考を矯正させられる。
1948年に作られ1949年に発行されたこの話。
少し昔このような世界が実際にあったわけで、著者が唱えているのは、こうした全体主義に対しての批判以外に何もない。
最近とっても長い歴史の中での今この世を捉えて考えてみることが多い。
このように1984でいう自由と権利が剥奪されたthe prolesが存在する意味って明らかで権力者が権力を確かなものにし、特権を保持し続けたいわけだからなんだけど、その自由と権利が保持されている国と時代にたまたま今生きているだけの話で、いつどう転んでひっくり返ったっておかしくない話。
20世紀の小説ベスト100に選出している名作。一度手に取ってほしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ずっと昔に読んだことがあったけれど、記憶がおぼろげだった。パート1ではオーウェルの才気あふれる空想の世界にのめり込みつつ、現在のネット監視社会を呼び起こさせるものもあり胸騒ぎを覚えた。パート2での執拗なる拷問と洗脳シーンは読むにたえず熟読せずに読み進めてしまった。パート3で終章であると思いきや、その後にAppendixがありNewspeakの解説をみっちりやっているのは記憶になかった。以前読んだ翻訳本にはなかったような気がするが、このオーウェルの徹底ぶりには驚かされた。おっかない話です。はい。
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読後、明るい気持ちにはならない。わかっていたけどね。定番SFという扱いだが、設定に穴が多くそこが気になってしまう。(ここまで世界地図が書き換えられていてなぜ"Airstrip One"がアメリカ大陸とまだ政治的につながっているのか、とか。欧州大陸とそんなに近ければ最前線のはず!)登場人物も記号のよう。それも含めた作品ということもできるかもしれないが。無理に小説の形を借りたエッセイのようだった。
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ジョージオーウェル1948年の作品
村上春樹の1Q84のベースとなったもの。
全体主義国家、ENGSOCでの主人公WInstonの全体主義に対する疑問、反抗と、体制側による拘束、拷問、そして更生にいたるまでの話。話を通じての全体主義批判が主なテーマになっている。
設定が非常に面白い。
世界が3つに別れ、全て全体主義国、常にどこかと同盟を組みながら戦争が行われている。
過去は常に現実を正当化するために書き換え続けられている。
言葉はNew Speakと呼ばれるものに変わりつつあり、単純化され続け、反体制を意味する言葉は消去され、暁には人々は反体制的な思想を持てなくなるようになる。など。
自由とは何か、理想的な国家、社会とは何かを極度の全体主義という設定の中から考えさせられた。一方、民主主義の現在の中にも全体主義的な部分が見られるように思う。今一度、自分たちの暮らす社会のあり方について考えてみたい。 -
1984、昔に日本語で読んだのだが、最近の日本の言論などの管理が不気味なくらい強くなってきているので、もう一度読み直すことにした。
手元に本がないので、ちょっとうろ覚えなのだが・・・
1984年のオセアニアでは、「Ministry of Truth」(政府プロパガンダを統括)、「Ministry of Love」(国民を管理・必要なら拷問する)、「Ministry of Peace」(戦争を継続して行う_ 、「Ministry of Plenty」(物資と食料の配布)が国の運営システムである。スローガンはこれ。
戦争は平和である (WAR IS PEACE)
自由は屈従である (FREEDOM IS SLAVERY)
無知は力である (IGNORANCE IS STRENGTH)
このスローガン読んで、相当怖くなりました。これはまさに、現代の思想そのものではないかと。60年代70年代には、東側の国を指して全体主義国家であると非難したのかもしれないが、21世紀の今、これは日本のことではないですか??まあ、日本に限らずほかの国もそうだと思う。
戦争したら儲かる企業(と国)があることは明らかだし、自由に見える現代は、実はそんなに自由ではない。民衆は馬鹿で無知なほうがいいってことも、管理する側にとっては周知のこと。民衆はインターネットなんて使っちゃいけない、本も読まないほうがいい。言われたことがしっかりできればいいのだ。
ついでにインターネットの登場で、いろんな意味でシステム側の民衆の管理が容易になってると思う。
もちろん、民衆のほうもインターネットにアクセスすることで、政府やメディアが隠している事実に触れることができるわけだけど、やりすぎるとウィキリークスの人(ジュリアンなんとかさん・・・)みたいに吊るし上げられる。私は、普段読んでるブログの主やジャーナリストも、殺されたり逮捕されたりするんじゃないかと内心いつもびくびくしているんだが。
オーウェルは5年くらいの執筆の後、1949年に本書を発表したそうだが、21世紀にこんな世界が来ると予想してただろうか。 -
(#6) 忘れもしない高3の課題本…。なんだろう、orwellは物語の背景にある主張が強調されすぎていて、透けて見えてくるから話に集中できないというか主張を聞かされてる心地になる。衝撃を覚えた記憶はある。もう一度読みたいとまでは思わない。
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説明無用。単語はたまに難しいところがあるが、会話文はわかり易い印象を受けた。
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An Intensive novel that make you glad you born in a different world.
But be careful, somewhere the Big brother is watching. -
自由な言動を極端に制限され、常に党に監視され、時々公開処刑が行われるような国に生き、国の政策に疑問を持ち始めた男の話。
こういう管理主義的、全体主義的社会というのがどんなものなのか(それはあくまで物語の中の話だけれども)とか、1984はおれの生まれた年だし、ずっと読みたいと思っていた作品。全体的に陰鬱な雰囲気で、ジワジワと迫ってくる怖さがあるが、劇的にストーリーが動いたり、あまりに生々しい描写があるわけではない。でも"You are the dead."のところはホラーだった。
Newspeakの思想が、言語と思考とか、言語政策について考えるきっかけとして面白い。言葉を削ることでそもそも思考を表現できなくし、アクセントも統一して、言葉の表現を全く面白味のないものとする。また、政府の批判を表現したとしても、その表現の意味を支えるだけの議論をするための言葉がないので、そもそもその表現がはじめから受け入れられない、というのがあって、本当にそんなことが実現したらとても恐ろしい。そしてdoublethinkというのはどういうことなんだろうか。とにかくすべてを意識の外に追いやる、という感じなんだろうか。人々の意識や思考にまで影響を及ぼす(洗脳する、という感じ?)完全な管理社会、というのが恐ろしいけれどもそこがこの小説の興味深いところだと思った。
あえて人々に物資を行き渡らせず、生産しても生産しても常に物資は足りてない、という緊張状態を生み出すための「戦争」という考えも、面白かった。(12/02/15)