- Amazon.co.jp ・洋書 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9780525657743
感想・レビュー・書評
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最近本屋でよく見かける、赤い背景に麺と箸のインパクトが大きいこの表紙。著者本人が朗読しているこの本のオーディオブック版を聴くまでは、彼女自身が率いるインディーズロックバンド("Japanese Breakfast"というらしい…)のシンガーであるということすら知らなかった。
彼女は、ちょっと過保護で愛情一杯の韓国人の母親と、元薬物常習者であるアメリカ人の父親を持ついわゆるハーフで、アメリカ育ち。子どもの頃は周りにからかわれるのが嫌で、なんとか白人の世界に溶け込もうと必死になり、そんな訳か韓国語もほとんど話せないまま大人になる。ティーンの頃はかなり荒れていたみたいで、自分を心配して気にかけてくれる母親の存在すら鬱陶しいと感じていたけど、やっと母親の有難さがわかってきた…という頃に、母親の膵臓がんが見つかる。この本は、著者が必死に母親の闘病生活を支えた期間の体験記であると同時に、母親の祖国である韓国の食べ物や文化、親戚達との絆が彼女自身の人生にどんな影響を与えたのかが描かれた回想録でもある。母親の病状がどんどん悪化していく様子は聴いていてかなり辛く、いたたまれない気持ちになったし、父親への嫌悪感が拭い切れない気持ちや、彼との関係性の脆さがせつなかったり。一方で、本のあちこちに登場する、著者が母親と一緒に食べた数々の韓国料理の描写が生き生きとしていて、今すぐにでも韓国料理屋に食べに行きたくなるくらいだった。
韓国で過ごしたことがあるのは本当に短い時間だけで、アメリカで普通に英語を喋って育った著者にとって韓国という国の存在は本当に母親そのもので、母親の闘病生活と死を通して彼女の中でそれが更に大きな存在になっていく過程が、読者の心をぎゅっと掴む ”Poignant”(よく本のレビューで使われる単語だけど、この本はこの言葉がふさわしいと思った)なスタイルで、ユニークな生い立ちを持つ彼女ならではの視点から語られているのが新鮮だった。こんな本を読むと、コロナ過で帰国出来ないのに、自分の母親に無性に会いたくなってしまう…し、母親とまだ一緒に新しい思い出を作れる今を大事にしていかないといけないなと思う(父親とも、だけど)。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
韓国人の母と白人アメリカ人の父のハーフとして生まれ、小さな白人社会の町で育った娘が、母親と価値観の違いと、自身のアイデンティティについて悩みながら成長していく。アメリカで生まれながらもアメリカ人として扱ってもらえない。ろくに韓国語も話せないので韓国人からも相手にされない。アジア人とアメリカ人ハーフはアメリカに数多くいるが、それぞれ同じ悩みを抱えてると思う。「あなたは一体何人なの?」と言った失礼な質問は日常茶飯事。母が末期のすい臓がんにかかったのを機会に、母が生きている間に韓国人としての生き方を受け継ごうとする。母と共通点はただ一つ、食べ物。食べ物を通して語る母親の回想録がとてもいい。82%ぐらいまではよても良かったが、残りが韓国料理の話、自分のバンドの宣伝で締めがイマイチだった。ちなみに、この著書のバンド、ジャパニーズブレックファーストの曲を何曲か聞いてみたけど、バンドは星二つ。
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文化の違いによってお母さんとミシェルは分かり合えない部分が多いけど、料理を通して二人が通じ合っているところが良かった。
あとピーターいい男すぎませんか。ピーターだけフィクションなんじゃないかなw -
韓国のお母さんとアメリカ人のお父さんを持つハーフの作者がお母さんとの食などを通じて関係性を綴られている話。
売れないバンドマンの主人公は思春期に手を焼くような子供だったがお母さんとの思い出の多くは韓国料理などが関わっている。そして大人になってお母さんに癌があることが発覚された。そこから闘病生活を過ごすことになり、YouTube動画を見ながら自分なりに韓国料理を作ったりとサポートをしていく。お母さんが亡くなり、家族が死とどう向き合うのかなどが描かれている。気持ちが落ち込んでいる中でも歌手・バンドが認知されていき、アジア系アメリカ人として活動を広げていくことになる。
特に印象に残っているのが、お母さんが亡くなったあとでも思い出すのが闘病中の髪の毛が抜けた弱った時が多くなっていることに気づく主人公だった。とてもお母さんが亡くなった後などはリアルに描かれていて、すごく書いている時も辛かったのだろうと感じだ。そして食事によってお母さんと繋がりを感じていたことがヒシヒシと伝わってきた。 -
移民の話って割と苦労して国を出て、ついてからも色々苦労してみたいな話ばかりしか読んでなかったから、日本人学校にもたくさんいる感じの2世の目線で書かれてるこれはその意味で新鮮だった。