- 本 ・洋書 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9780571258093
感想・レビュー・書評
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主人公キャシーは「介護人」として、長年同じ寄宿学校に通い、青春期を共に過ごした友人や初恋の人の看病に勤しむ。病院までの往復、車中で思いを馳せるは懐かしい学校での日々。淡い初恋や、友人とのささいな喧嘩。そして同時に思い出すは穢れに触れるかのように怯えた目をした教師や、一人、また一人と姿を消していった友人達の事。色々あったが、今思い返えばどれもかけがえのない大切な思い出でー。泣けるディストピア小説と言えばコレ。読み進めていく内に、キャシーが懐かしむ「学校」のどこか奇妙なカリキュラムと腑に落ちない校則に、言い知れない気持ち悪さが募る。ただし生徒達に不思議な点は一切なく、恋に振り回されたり、学校内の迷信を馬鹿にしながらも心のどこかで信じてしまう純真な姿は、どこの学校でも見られる普通の光景で。主人公の回想を読み進める内に明かされる学校の謎に驚くと共に、来るべき悲劇に思いが至り、その瞬間から涙を流さずにはいられないだろう。
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SFっぽい設定だし、ミステリーの要素もあるけれど、生きることの意味について深く考えさせられるシリアスドラマというのがこの物語の本質だと思います。
最初にHailshamでの日常生活の中のこまごまとした出来事やそれに伴うKathyとその同窓生たちの気持ちの動きを綿密に描写することで、彼らにかけがえのない「生」があったのだということを読者に強く印象付け、後段の物語の悲劇性を浮き彫りにしているのだと思います。
それにしても後半はせつないです。
読み終わってからしばらくは物語が頭の中から離れませんでした。 -
Kathy, a carer living in London, enjoys her job and life. She grew up in a
secret institution called Hailsham until the age of 16, where children are not
allowed to live in the future. Kazuo Ishiguro, Japan-born British novelist,
focuses on the relationship between human cloning and society. -
主人公やその周辺の人々が置かれた状況を決して具体的に説明されることはなく、物語を追うにつれて読者は察することができる、という特殊な技法が使われている。
英文ではあるが、各キャラクターの感情やそれに伴う行動は明確。別れの描写の切なさは秀逸。 -
読後の余韻が印象的な本。
著者であるカズオ イシグロ氏の描写、表現方法かとも思いますが、文章そのものだけでなく、行間も読む一冊です。繊細。 -
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPAC↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/643131 -
Audibleで聴きながら同時に字も読むというトレーニング方法を初めて試したけどかなり良い感じ。読み手のRosalyn Landor氏の仕事が素晴らしいです。
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子供時代や10代の頃のノスタルジックな感傷を思い起こさせ、とりとめもない物事の描写がとても細かく、そういった表現が評価されているのかなと思った。英語の原文でも非常に読みやすい。臓器提供のためだけに生み出されたクローン人間の話になってくるので興味深い設定ではあるが、医療的にどんな施術がされてるのか、施設や集団生活が営まれてるがどんな社会制度になってるのか、提供者を成人させるまでかけたコストに見合う背景なのか、語られない物語設定への疑問が頭に浮かびすぎて感情移入できなかった。1990年代後半のイングランドという設定を考えると倫理的な議論についてもっと踏み込むことを期待してしまった。 はっきり意思表示しない婉曲的な雰囲気と、謎のタブーが多いのも独特だが、言い回しなどは繰り返し表現になっていて、読んでる途中でまたコレ始まった・・という感覚を持ってしまった・・ 人それぞれの感性、ということで
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ノーベル賞作家 カズオ・イシグロの代表作の原書。
非常に難解。英語力の問題か、読解力か不明だが、いずれにせよ早すぎた。
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