Penguin Random House The Remains of the Day: Booker Prize Winner 1989

著者 :
  • Faber & Faber
4.23
  • (16)
  • (23)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 247
感想 : 16
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・洋書 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780571258246

作品紹介・あらすじ

This title is winner of the Booker Prize. In the summer of 1956, Stevens, the ageing butler of Darlington Hall, embarks on a leisurely holiday that will take him deep into the countryside and into his past ...A contemporary classic, "The Remains of the Day" is Kazuo Ishiguro's beautiful and haunting evocation of life between the wars in a Great English House, of lost causes and lost love.

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • "And I believe it was then that he said: ‘You’ve got to enjoy yourself. The evening’s the best part of the day. You’ve done your day’s work. Now you can put your feet up and enjoy it. That’s how I look at it. Ask anybody, they’ll all tell you. The evening’s the best part of the day.’ (p.256)"

     ブッカー賞受賞作。邦題『日の名残り』。以前土屋政雄氏の翻訳を読んでいたので、ストーリーを把握するのには困らなかった。

     軽々に「泣ける小説」とかあまり言いたくないのだが、この本は、しみじみ悲しくてしょうがなかった。僕自身が、気づかないうちに後悔を抱えているのではないかと、かなり真剣に考えこんでしまったほどだ(そりゃまぁ、今までに後悔が全くないと言えば嘘になるけれども)。

     1956年の夏、イギリス。老執事のStevensは、雇い主であるアメリカ人の富豪から、自分が帰国して館を留守にするあいだイギリスを見物して回ることを勧められる。かつてStevensは政界の名士Lord Darlingtonに長年仕え、一流の仕事をもって卿を助けたが、栄光の日々も今は昔。卿は既にこの世を去り、その邸宅も先のアメリカ人の所有となっていた。Stevensは、旅の道中で様々な人々や出来事に出会いながら、自らの来し方を回顧する。過ぎ去りし日の思い出は、今なお確かに彼の中で輝き続けるのだった。

     まず感じたのが、象徴的表現・情景描写の上手さ。Stevensが父親の様子を眺める場面(p.69)では、父親の加齢による衰えが暮れつつある夕日と重ね合わされている。他にも太陽が比喩として使われている箇所がいくつかあるが、これは大英帝国の「落日」をも含意しているのだろう。そもそも執事という存在自体が、古き良き"Englishness"の象徴であるように僕には思える。また、邸宅を訪れた客から食堂の戸口にあるarchが一見年代物風の「偽物」ではないかと疑われるシーンがあるが(p.129)、このarchというのは昔Stevensが執事としての充実を噛みしめたまさにその場所なのである(p.239)。

     この小説の一番の見所は、現在と過去とを行ったり来たりしながら、穏やかな筆致で細やかに、またユーモアを交えて描かれるStevensの心境の移り変わりである。

     Stevensが敬愛してきたLord Darlingtonだが、実は世間からはナチに良いように踊らされた対独宥和主義者と呼ばれ、彼の名声は今や完全に失墜していることが、物語が進むにつれ次第に明らかにされる。Stevensも、避けてきた問いに正面から向き合わざるを得なくなる。つまり、卿に仕えたあの日々を通じて自分は果たして何かを成せたのか、と。
     偉大な紳士たちのすぐ近く、世界という車輪の"hub"で働けたという自負も、ずっと拘ってきた執事としての"dignity"も、結局はすべて空疎なものでしかなかったのかもしれないという思いが自分の中にあることに、Stevens自身薄々気づいていたのだろう。例えば、Stevensが卿に仕えていたことを咄嗟に人から隠した(p.126、130)のは、彼自身が言うように卿に関する“utter nonsense”を聞きたくなかったというのもあるのだろうが、加えて、それを強く否定できない自分を認めたくなかったからに思える。なぜなら、卿たちの善意からの行為が裏目に出たのは厳然たる事実だからである。また、Stevensはある場面で”a deep feeling of triumph”を覚えたと語っている(p.238)が、実際にはむしろその逆で、執事として出来ることの限界を感じ、敗北感を覚えていたのではないか。流石にこれは穿ち過ぎかもしれないが、そうとでも思わなければ、このときの彼の心情が僕にはよく呑みこめなかった。僕の読みが正しいかはさておき、その慇懃さからなのか、Stevensの語りにはどこか必死に言い繕っている感じが漂っていて、Kazuo Ishiguroはこの辺り非常にうまいと感じる(Unreliable narratorだという先入観に囚われすぎ?)。

     もう一人、Stevensが旅の中で思い出すのがMiss Kentonである。彼女は、昔彼と共にLord Darlingtonに仕えた女中頭で、今は仕事を引退し家庭を持っている。例によってStevensはハッキリと語らないので推測するしかないが、当時彼らがお互いに特別な感情を抱いていたのは間違いないだろう。だが、Stevensが執事としての仕事を優先したため結局二人が結ばれることはなかった。いや、これはStevensにとって幾分都合の良い説明で、Stevensが距離を縮めてくるMiss Kentonに正面から向き合うのが怖くて"dignity"に逃げたと言う方が当たっているかもしれない。Stevensが未だに彼女を結婚前の”Miss Kenton”と呼び続けることからは、彼の未練が見える。

     時に自分自身を騙し、時に責任転嫁して、頑なに自分を守ろうとしてきたStevensだったが、同じベンチに座った見ず知らずの男との会話の中で、慣れない旅に疲れたStevensはついポロッと零してしまう。
    "You see, I trusted. I trusted in his lordship's wisdom. All those years I served him, I trusted I was doing something worthwhile. I can't even say I made my own mistakes. Really – one has to ask oneself - what dignity is there in that? (p.256)"
    自分は卿の言葉をただ信じてそれに従うだけで、彼を重大な過ちから救うにはあまりにも無力だったのだ、と。悲嘆に暮れるStevensに男がかけた慰めの言葉が、冒頭の引用である。もう戻らない時間を悔いても、今となっては詮無いことだ。 ”The evening’s the best part of the day.” 残された時間を最大限楽しもう。そしてStevensは、雇い主のため、苦手なジョークの練習をしようと前を向くのだった。

     Kazuo Ishiguroは、あるインタビューで次のように語っている。
    "I tend to be attracted to pre-war and postwar settings because I'm interested in this business of values and ideals being tested, and people having to face up to the notion that their ideals weren't quite what they thought they were before the test came."
    この”The Remains of the Day”は、かつて信じて疑わず、喜んで身を捧げたものの価値が揺らぐのを経験した男が、旅の中で自分を見つめ直し、再び希望を取り戻す姿を描いた物語である。他の方のレビューで、読者が何歳かで印象が変わる作品だろう、というのを拝見した。確かに、僕の乏しい人生経験ではStevensの心情を実感をもって理解できたとは言い難い。それでも、この本をいま読めたのはとても幸運だった。僕が歳を重ねてまた本書を手に取ったとき、何を感じるのか。正直なところ怖さもあるが、できれば楽しみにそれを待ちたいなと思う。

    ・Kazuo Ishiguroのインタビューの記事
    BOMB. Kazuo Ishiguro by Graham Swift.
    https://bombmagazine.org/articles/kazuo-ishiguro/

    • ハイジさん
      BRICOLAGEさん

      はじめまして!
      素晴らしいレビューでついコメント失礼します
      私も本書が大好きなのですが、やはり原文で読まれるとさら...
      BRICOLAGEさん

      はじめまして!
      素晴らしいレビューでついコメント失礼します
      私も本書が大好きなのですが、やはり原文で読まれるとさらに奥深くなるのですね!
      英語の勉強は途中まで頑張ったのですが、残念ながら身になりませんでした(^^;;
      なので大変参考になり楽しませていただきました!

      他にも理系のレビューもいつも楽しんでおります
      無知なのですが興味はあるので参考になります

      これからもさまざまな分野のレビュー楽しみにしております(^ ^)
      2023/01/18
    • BRICOLAGEさん
      ハイジさん、はじめまして。
      コメント頂けて、とても嬉しいです!!

      レビューへのお褒めの言葉、ありがとうございます!
      私は言葉のニュ...
      ハイジさん、はじめまして。
      コメント頂けて、とても嬉しいです!!

      レビューへのお褒めの言葉、ありがとうございます!
      私は言葉のニュアンスまで読み取れるほどの英語力はもちろん持っていないくせして、たまに洋書を読みたくなるのですが、
      日本語で読むよりずっと時間がかかるので、本を読み終えるときには最初の方をすっかり忘れているようなことがよくあります…
      この本はとても面白かったので、そんなことはありませんでしたが(笑)
      ハイジさんは、本書のレビューに「どんな時でもキラキラした静かな湖畔の景色が延々と続くよう」と書いておられて、本当にその通りだなぁと思いました。
      派手な展開はないにもかかわらず読む者の心をつかんで離さない、染み入るようなカズオ・イシグロの文章が本当に素敵です。

      理系のレビューは、私も勉強途中の身でお恥ずかしい限りです。
      書いていることの9割はデタラメだと思ってお読みください(汗)

      こちらこそ、ハイジさんのレビューをいつも興味深く拝読しております。
      特に歴史系のレビューは、私が全然読めていないこともあってとても勉強になります。
      それでは、これからもどうぞよろしくお願いいたします!
      2023/01/18
  • ノーベル賞作家カズオ・イシグロの代表作『日の名残り』を機会があって原文で読んでみた。これだけ長い小説を英語で読むのは初めて。どれだけ理解できるか不安だったが、案外楽しめた。日本語版はまだ読んでいないのだが、日本語で読むとおそらく違う印象を受けることだろう。そして、そちらの方がオリジナルの理解に近いだろうということもほぼ確信できる。ただ、そういった不自由さも含めて、日本語でも読んだこともなく、また粗筋さえ知らない、かつ評価が高い小説を原文で読んでみてよかったと思っている。そして、英語で読むことがそれほど苦痛でなかったことがとても大事な発見だった。

    <以下、少しネタバレ>
    主人公のStevensが、理想の執事とあるべく、いつも自分の仕事を優先してしまう気持ちは実はとてもよくわかる。描かれた彼の行動について、よくわかるという人の方が少なく、共感できないという人の方がもしかしたら多いのかもしれないが、何が彼をそうさせているのかは、自分にはよく理解できるように思う。その理由も。その方が、実は楽だからだ。それが楽な体となってしまっているのだ。
    仕えてきた主が責めを負う形となり、また強いつながりを持っていると感じていたKentonとはそこまで親密な関係を作ることなく、おそらく再度この先に会うことはないかもしれないと認識をしたときに、彼はおそらくこれまでの自分の人生が正しかったのだろうかと考えてしまったのではないだろうか。

    小説の最後にStevensの独白として置かれた次の文章がある種の真実を指し示しているように感じる。

    Perhaps, then, there is something to his advice that I should cease looking back so much, that I should adopt a more positive outlook and try to make the best of what remains of my day. After all, what can we ever gain in forever looking back and blaming ourselves if our lives have not turned out quite as we might have wished?

    この言葉は自分にもとても刺さる。カズオ・イシグロがある種のメッセージとして込めたであろう何かを実感としてもこの手につかめそうだ。誰の中にもStevensはいるだろう。自分の中のStevensがいるのがわかる。そして、それが分かるのはいよいよ自分が老年に差し掛かってからであるのかもしれない。よい小説だった。Indeed。あなたがいくつのときに読むのかで印象が変わる小説であるように思う。日本語でも読んでみたい。

  • 初めて英語の小説を完読。
    日の名残りとはまた、良きタイトル……。もっと歳をとってからまた読んだら感じ方が違いそう。後悔の中にも、ちょっとだけ前を向ける良作。

  • 日本語版に続いて原文を読了。英語で読んでも綺麗な話だった。主人公が語る手法を生かしながら伏線を散りばめ最後の再会とその後まで上手く話を作っている。
    原文の方がスティーブンスのミス・ケントンに対する素っ気ない態度が良く分かる。日本語の訳本の方がどうしても読み易いが、文学作品は今後も余裕があれば英語版も手にとってみるべきだと思った。

  •  イギリスの由緒あるお屋敷で、半世紀に渡り一流の執事として勤めてきたスティーブンスは、かつての同僚ミス・ケントンに会うため四日間の休暇をもらう。主人であるファラデー卿が貸してくれたフォードで彼女の家へ向かう道中、今まで関わることのなかった田舎の人たちと交流し、そのたびに過去の記憶が蘇る。戦時中に各国から伯爵たちが集った秘密裏の会合、ミス・ケントンとの諍い、同じ執事として尊敬していた父の死。それぞれを回顧する中で、尊厳、忠誠、愛について思いを巡らせる。

     2月から月一洋書チャレンジを始めたのだけれど、以来読んだ中で一番難しかった。イギリスという国にも執事という文化にも全く親しみがないのに何でこの本を選んだんだあああと5ページ目あたりで既に悶える羽目になった。

     まず文章が長くて構文がとても複雑だと感じた。一つの文章の中にコンマで区切った付け足しが次から次へと挿入されて、読んでいるうちに、あれこの文の主語なんだったっけ、いま何の話してたんだっけ、いやこれ何個目のthatだよ…と混乱してしまうことが多かった。日本語の文でもよく迷子になるわたしにはレベルが高過ぎた。

     さらに見たことも聞いたこともない単語がポンポン出てきた。特に形容詞。形容詞なんて別に正確な意味を取れなくても内容はなんとなくわかるでしょって今まで思ってきたけれど、全然だめだった。基本的に回顧録なので、大きな事件が起こるなどといった動的な展開はほぼなく、スティーブンズの心情や当時の情景や雰囲気が主に描かれるわけで、つまりこういう静的で文学的な作品においては修飾語が一番大事なのだった。最初はスマホ辞書で調べながら読んでいたけれど、ニュアンスがなかなか掴めなくて途中から意を決して大学生時代の電子辞書を引っ張り出してきた。でも、この本閉じたらもう二度とお目にかからないのではと思ってしまうような単語の意味は、調べてもほとんど覚えられない、、、

     以前読んだ “Where the Crawdads Sing” も、年代的にも(1950-60年代)、状況的にも(家族に捨てられ沼地で孤独に暮らす)、あまり親しみのない設定だったけれど、主人公が救いを求めてもがく姿とか、同年代の少年少女とのぎこちない関わり合いとかには感情移入したし、殺人事件というセンセーショナルな事件が一つ起こっているから、その結論を知りたいという好奇心があった。だから冒頭こそ生物学系の見慣れない単語に苦労したけれど、だいぶ慣れてきた後半は怒涛の勢いで読み進めることができた。しかし今回はスティーブンズと自分の共通点がほとんどなくて、なかなか苦労した。一つの仕事を長年続けているという点について、職人に対する憧れのような感じで、かっこいいなとは思ったけれど。洋書を読む上で、主人公に共感できる側面があるかどうかは、わたしにとって大事な要因のようだから、今後の本選びの際は気を配ろうと思った。と言いつつ、次に読む本はもう決めてあって、親友が数年前の誕生日にプレゼントしてくれて、当時半分くらい読んで中断してしまったメキシコの小説を最初から読み直そうと思っているから、これまた苦労しそうだ〜

  • Ishiguroさんの本は、ずっと昔に “Never Let Me Go” をプロットを知らずに読んで衝撃を受けたのを覚えてるっけ。面白かったし、2017年にノーベル賞を受賞したのを機に、「”The Remains of the Day”も有名だし、いっちょ読んでおくか」とKindleにダウンロードしたまでは良かったけど、何度か読み始めても文体が小難しいと感じてしまって、ちょっと読んでは放置、そしてまたしばらく経ってから思い出して読み始めるも、放置…という状況が続き、本当は去年のうちに読みたいと思っていたものの、読了出来たのが年明けになってしまった。

    イギリスの名高いDarlington Hallというお屋敷に仕えるバトラーのStevens。現役だけど、既に老いてしまっている彼は、長年仕えていたLord Darlingtonの死後、お屋敷に新しくやってきたアメリカ人の主人に仕えるようになる。屋敷のスタッフの人手不足のせいで小さな問題が浮上し始めた矢先、その主人から数日間の休暇を許可してもらったことで、Stevensは昔ハウスキーパーとして同じくLord Darlingtonに仕えていたMs. Kentonを再度リクルート出来るかも…と期待して、彼女の住む土地まで車で小旅行しようと思い立つ。バトラーとして昔自分が体験した事を、Stevensが旅行中に色々と回想してゆく…というストーリー。

    蓋を開けてみると、20%くらい読み進めれば文体に慣れてくるし、ストーリーも少しずつ面白くなった。残り半分は、昨日の日曜日にがーっと一気読みしたくらい。特に、ヴェルサイユ条約の制約下で苦しむドイツの境遇に心を痛めたLord Darlingtonが、各国の有力者達を自分の屋敷に招いて話し合いの場を持とうと活躍した3日間あたりの描写なんて、威厳が漂う雰囲気の中、紳士達が集まって厳粛に国際情勢についてディベートする…というのを読むのがなんとも新鮮だった。それに、Stevensのバトラーという職業に対して持つ誇りの高さが凄い。彼は、世界をより良い場所にしていく社会的・政治的決断というのは、政治家達に決められるものではなく、むしろ名立たる屋敷の壁の中で繰り広げられる紳士達同士の話し合いによって作り上げられるものであって、そんな紳士達は人類に貢献しているのだ、と考えている。そして、紳士達に仕える、バトラーを始めとするプロフェッショナル達も、自らの職業を通して人類に貢献しているのだ、と。バトラーという職業について考えたことって今までになかったけど、仕えるご主人様を尊敬していればしているほど、自分がやっていることに誇りが持てるんだろうなぁ。

    ストーリーの最後の最後までMs. Kentonに再会する場面はやって来ないし、再会したら再会したで、ちょっとせつない気持ちになってしまった。タイトルの本当の意味が最後の2、3ページでやっとわかるんだけど、ストーリーの終わり方が表す希望の形がとても可愛いと思ったし、正に真面目でバトラー一筋のStevensらしい前の向き方だなと笑ってしまう。今までに読んだことがないタイプの本だったけど、Stevensというバトラーのプロフェッショナルとしての生涯を一緒に駆け抜けた気分にさせてくれて、彼の残りの人生も陰で応援したい気持ちにさせてくれたこの本。なんだかじんわりと「あぁ、良い本だったなぁ」と思ったし、やっと読めたのが嬉しいな。

  • 英語版では初めての読了。
    結構同じ言葉回しが多いんだけれども、それをズレとして上手く利用しているなぁとの印象あり。
    結局一番過去に囚われていたのは誰なのか?意外に読者ということやもしれませぬ。

  • 2011.06.09
    授業で。
    第2次世界大戦前後のイギリスのあるお屋敷に勤める執事のStevensの元主人であるダーリントン卿に対する忠誠心、女中頭であったミス・ケントンとの仕事と感情の変化、"great butler"についての自分の考察など。
    Stevensの"執事"っぷりが、驚くほど真面目で、直向きで、でも、それゆえにどこか不器用で。もどかしくもあり、でも憎めなくって愛着がわいてくるStevens。

    英語はとってーも丁寧だし、ちょっと回りくどかったりして難しい所も多いけど、翻訳版をお供に読んでいったら後半はわりとスムーズに読めた。
    この静かなんだけど、読み終わった後余韻が(しかもイーってもどかしい気持にはならない余韻が)残る感じが好き。
    なにより、翻訳版の助けも何度か借りたけど、洋書を1冊読み切ったぞーって、自信になるね。

  • 映画を先に見たけど、ちょっとストーリーが違うかも。
    こちらの終わり方の方が好き。
    切ないだけでなく、より主人公がポジティブに意識を変えたように思う。
    時間は戻らない。
    人は自分で道を選んで行く、たとえ間違ってても。
    どんなに他人からはネガティブに見えても、それを体験した自分から見ると、輝きや幸せがある。

  • 【オンライン読書会開催!】
    読書会コミュニティ「猫町倶楽部」の課題作品です

    PROLOGUE~Chapter 3
    ■2022年10月20日(木)20:30 〜 22:15
    https://nekomachi-club.com/events/0da576684507

    Chapter 4~Chapter 7
    ■2022年11月22日(火)20:30 〜 22:15
    https://nekomachi-club.com/events/a1cbb1e819c4

全16件中 1 - 10件を表示

KazuoIshiguroの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×