- Amazon.co.jp ・洋書 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9780571258253
作品紹介・あらすじ
In his highly acclaimed debut, "A Pale View of Hills", Kazuo Ishiguro tells the story of Etsuko, a Japanese woman now living alone in England, dwelling on the recent suicide of her daughter. Retreating into the past, she finds herself reliving one particular hot summer in Nagasaki, when she and her friends struggled to rebuild their lives after the war. But then as she recalls her strange friendship with Sachiko - a wealthy woman reduced to vagrancy - the memories take on a disturbing cast.
感想・レビュー・書評
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カズオイシグロの1980年台の作品です。舞台はイギリスと、回想の中での長崎で、主人公の今と過去、そして、主人公の取り巻く登場人物たちが、なんと言ったらいいんでしょうか、淡い光と闇の中で、お互いににじみあって混じり合ったり、誰についての記憶なのかが曖昧になったりと、なんとも不思議で、それでいて寂寥感を残す作品でした。
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遠くまで続く丘陵が薄明かりの中霞んで見える。タイトル通り、つかみ所のないあいまいな過去の記憶を、主人公がたどっていく物語。純文学ってこういうものだよなあ、としみじみ感じます。
英語で読んでいるのに、長崎時代のストーリーは、私の脳内では小津安二郎監督による映像で上映されていました。小津安二郎の普遍性と、カズオ・イシグロの日本研究と描写力のなせる業でしょうね。
以下ネタバレですが、
特筆すべきは
・娘の自殺の理由
・長崎時代のその後
・英国に来た理由
が全く描かれていなかったこと、
・無意識の中で義父やサチコの行動に追随していること
・「縄」のエピソードが重複して出てきたこと(おそらく)
・ケーブルカーに乗ったのが「ケイコ」にすり替わっていたこと
幻想的でミステリアスな作品でした。英語の勉強として簡単な文章ながらも文学に触れたいと思って選びましたが、これはもっと読解力がついてから再読したいです。 -
[戦争と日本人を静かに語る芋 / 長崎とイギリスを舞台に / 抑制された文体] 「女たちの遠い夏」と日本書紀の題名ですが、そのHillsとは長崎の稲佐山です。イギリスの(日系人)作家(1954~)の初期作品。日本人の軌跡がはるりき山と重なります。