Normal People: One million copies sold

  • Faber & Faber
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・洋書 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780571334650

感想・レビュー・書評

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  • アイルランドの小さな町で育ったコネルとマリアンヌ。フットボールと読書を好む、いわば一般的な青年のコネルと、家族や友人関係に問題を持つマリアンヌは高校でお互いに惹かれ合うが、周りの目が気になり恋人になりきれない。そんな彼らの苦悶や成長を描いた恋愛小説。

    ひらたく言ってしまえば大学内の恋愛ゴシップに溢れた内容なので、続きがどんどん気になるような物語ではあった。けれど、個人的にはコネルとマリアンヌの人間関係に対する選択があまり論理的ではなくて共感できる内容ではなかった。ただ、それは僕がいわゆるnormal peopleの1人であることを意味してるのかなとも思う。こういった精神に問題を抱えた者の恋愛模様を描く小説は、往々にして男女のどちらかが死んでしまうけれど、この本は、どれほど困難や悲しみを経験しても人は変われる、というメッセージで物語を締めくくっていて、そこは純粋にいいな、と思った。

  • 白百合女子大学英語英文学科 米田ローレンス正和先生お薦めの一冊です。先生からのコメント↓をぜひご参照ください!
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    2010年代のアイルランドを舞台に、高校生のコネル(男性)とマリアン(女性)との関係性を中心に語られていく青春恋愛小説です。英語で表現するなら a coming-of-age love story となるでしょう。タイトルの「ノーマル・ピープル(=普通の人たち)」とは、主人公たちの周りにいて何も疑念を持たずに生きている多くの「人たち」を指すだけでなく、主人公たちから見て周りとは異なる自分の感じ方や考え方が、実は「普通」であることも意味したりしていて、重層的なアイロニーとして使われています。(私の個人的な見解です!)しかしながら、この小説をお薦めしたい理由は、その現代的なセクシュアリティの感覚だけでなく、著者のサリー・ルーニーが持つ独特な文体で書かれているからなのです。彼女の文体を「声」にたとえると、重低音が大きく鳴っているのに、体の中に流れて入ってくるような力強い心地好さがあります。リアリズムに特化した文体ではあるかもしれませんが、ファンタジーを好む読者であっても、ルーニーさんの音楽的な文体を経験することで、自分の本当に好きな文体とは何かをより深く知ることができるはずです。個々の単語は易しいものばかりですから、是非とも原文の英語で、ルーニーさんの文体に直に触れてみてください。

  • ただただ生きるのが上手じゃない二人の物語
    I' m not a religious person but I do sometimes think God made you for me
    まさにコネルのこの言葉が全てで、お互いがお互いのためにそこにいるのは確かなんだけど、だからこそ共倒れしちゃうような脆さで読んでいて苦しい感じ
    I wanna do anything you want me to do ていうマリアンの気持ちもそれが全てで、総じて誠実な話
    ノルウェイの森のような、舌が重くなるような感じ

  • Audible。ナレーターはAofie McMahon。

    たしか相変わらずセールに入っていて、洋書ファンクラブ等でも褒められていたブッカー賞ロングリスト作なので購入して、でもあまり好みじゃないかもと思ってしばらく積んであった作品。
    アイルランドの田舎町で暮らす高校生2人。Marianneは裕福だけれど崩壊している家庭の娘で学校でも浮いている。Connellは犯罪者も何人かいるような貧しくて評判の悪い一族の息子だけれど学校では人気者。学校では違う世界に属し口もきかない二人だが、実はConnellの母がMarianne宅の掃除をしていることから近しくなり、恋?が生まれるのだが、、、
    運命の出会いのようにも思えるのに、近づいては離れ、そのたびに傷つけあい、なかなかうまくいかないコミュニケーション不全の二人。人が出会うということ、分かり合おうとすること、成長して以前と同じ失敗は繰り返さなくなったり、それでも完璧にはいかなかったり。
    派手な展開はないし、時にフラストレーションがたまったり、居心地が悪かったりもするのですが、とても面白く読みました。作者の他の作品も読んでみたいです。

  • 周りに馴染めないことで苦しむConnelとMarrianne。社会的、精神的に疎外感を感じながらもどうにか擬態して生きていこうとするが、自分らしくいられないことは彼らの心を蝕んでいく。「普通の人たち」とはいったいなんなのかと考えさせられる。

  • 途中まですごく面白くページを捲る手が止まらなかったが、後半一気に減速した印象…
    こういうシチュエーションが自分の過去にはなかったからイマイチ入り込めなかったのかなぁ…大学に進学したらConnellとMarianneの置かれる立場がガラッと入れ替わったのもよくわからなかった…うーんもっと楽しみたかった!

  • 読み続きたい感じずっとあった。すごくよくできている。読みながら、この話は本当に気に入った。けど、読み終わった後に、何か、読まなくても大丈夫な感じも残った。もう知っている話みたいな印象が浮かんだ。確かに20代の人々の本だな〜と思って、それも悪くないね。

  • 主人公の男女が高校から社会人になるまでくっついて離れてまたくっついて離れて、、を繰り返しながら自分を探していく小説。
    典型的な恋愛小説ではなくお互いに話していないことがあったり、読者がモヤモヤするようなリアルさが描かれていて面白かった。
    何よりも話している部分に敢えて” “ を使っていないことで文書の縫い目がなく流れるように読めることがとても新鮮で印象に残った。
    内容としては人は変わるようで変わらないことをメッセージにしているのではないかなと感じた。
    社会的階級や虐待などについても描かれていて良い本だった。

  • 題名の通り、普通の人々の普通の日常を描いている。読みやすい英語。

  • 文武両道で誰からも好かれるコネルと、変わり者あつかいされて友達のいないマリアンヌ。コネルの母親がマリアンヌの家で掃除婦をしていることから二人は関係を深める。だが友人に関係を知られたくないコネルは、心ない行動をとり、マリアンヌは黙って高校を去ってしまう。そしてその後二人は大学で再会するが……。

    4年におよぶ、友情とも恋愛とも名状しがたい関係が、シンプルな会話と抑揚をおさえた筆致で描かれる。“○週間後”“○ヶ月後”という具合に時間を飛ばし、ドラマチックな場面をあえて書かないこともしばしばだが、そんな素っ気ないスタイルとは裏腹に、二人の切実な感情や痛みが手で触れられそうなほど生々しく伝わってくる。

    BBCでドラマ化されて評判になっているそうで、言葉にされない様々なニュアンスをどう演じるのか見てみたくなった。たとえば夏休みにイタリアで久しぶりに再会した場面など→
    “Looking in his eyes she says: Well, hello. He senses a certain receptivity in her expression, like she's gathering information about his feelings, something they have learned to do to each other over a long time, like speaking a private language. ”(p.161)

    終盤、マリアンヌは自分たちの関係をこう振り返る
    “All these years they've been like two plants sharing the same plot of soil, growing around one another, contorting to make room, taking certain unlikely positions.”(p.265)

    (2018)

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