The Vanishing Half

著者 :
  • Riverhead Books
3.29
  • (0)
  • (2)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 25
感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・洋書 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9780593418598

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ちょっと前に話題書みたいに取り上げられてるのをちらほら見かけていて、気になっていた本。

    アメリカ南部にあるブラックコミュニティーの小さな町で1950年代に生まれ育った双子の姉妹、DesireeとStella。 黒人と言われればそう見えるけど、白人のように振舞えばそうも見える肌を持った、見た目はそっくりな双子が、お互いとは正反対の道をそれぞれ歩んでいくことになる過程を1990年代まで描いたストーリー。その本を読むまで考えたことがなかったけど、肌のトーンには色々バリエーションがあるわけで、この双子のように、状況によって黒人にも白人にも捉えられるような肌の色があるのか…と不思議な気持ちになったのと同時に、Desireeと黒人の夫との間に生まれた一人娘の漆黒のような肌の色は、やはりブラックコミュニティーである母親の故郷の町でさえ目立ってしまって、黒人同士の中でも『どれだけ肌の色が白人に近いか』でマウントを取り合うような環境が存在し得るのを知った。ストーリー的には、DesireeとStellaの両方の人生が均等に描かれていると思うけど、やっぱり、自分の過去を隠し通しながら白人として生きていくことを決めたStellaの、自分の家族に自分の正体がバレることを恐れ、嘘に嘘を重ねながら慎重に毎日を過ごしていく描写がすごくリアルだなぁと思った。白人の夫と自分の間に授かった娘が生まれるまで、「肌の黒い子が生まれてきてしまったら…」とStellaが気が気でなかった状況は容易に想像出来るし、白い肌を持って生まれ、自分は白人だと疑うこともない娘に自分の素性をひた隠しにしたかった心情もよくわかる。顔や体の造りは関係なく、肌の色のみが基準で白人と同じ恩恵が受けられるのであれば、家族の絆を捨ててでも白人として生きていきたい…と願ったStellaの気持ちに、意外にも理解を示した自分がいた。ストーリーの終わり方も、『Stellaが町に帰ってきて、ハッピーエンド』みたいな安い終わり方でないのも良いし、本当に双子がそれぞれ選んだ別の道を歩んでいっているんだな、という、何だか不思議な爽やかさがあると言うか、決して嫌なエンディングではなくって好感が持てた。

    思ってみれば、私は目も一重なザ・アジア人だけど、黄色人種の肌の色がどうこうよりも、顔が既にアジア人だから周りの認識もそうなのであって、自分の肌の色を気にしたことはなかった(一般的な日本人よりも常に日焼けして見える肌で、それをたまに指摘されるくらい…)。欧米で起こっているAsian Hateも、肌の色ではなく見た目で判断してるんだろうし。そう思ったら、『肌の色』がすごく重要になってくるのは、やっぱり肌が褐色とか黒色みたいに濃い色で、肌の色さえ違ったら人種がわからないような人達なのかな。とか悶々と考えてしまった。

  • そういう時代が、そういう暮らしがあった、という事をほんの少しとはいえ体感できる感じはいいな、と思った。ただ、どうかな、物語としてはそこまでグイグイ引っ張られる感じではなかった。

  • 話題の本だったので手に取ってみたが、新しいストーリーでとても面白かった。
    肌の白い黒人の双子のDesireeとStellaがMallardという町から逃げ出して2人で生計を立てるが、突然Stellaはいなくなり、それぞれの道を歩むことに…Desireeは黒人男性と結婚し、肌のとても黒い子供Judeを産み、Stellaは白人の上司と結婚し、Kennedyという娘が生まれ、それぞれの人生を歩むことになる。交わることのない2人だったが、ひょんなことから子供たちの代で急に顔見知りになっていく。
    色に対する表現がとても多く、肌に対する誇りや劣等感などを読み取ることできて面白かった。Mallardという閉鎖的な田舎町では黒人のほとんどは色素が薄いが、お金の持っている白人のもとで働くケースが多いという絶妙な立場。
    Desireeは肌の濃い人への興味、Stellaは白人としてpassしたワクワク感、でそれぞれの道がバラバラになる。家族関係も全て違い、夫・娘との関係性や仕事などそれぞれが歩む道は違って、正解はないというメッセージが伝わってくる。
    最初の引きはとても強く面白かったが、後半の失速感が少しあり…話の内容としては四つ星。
    Passing (黒人だけど白人として生きること) はアメリカ史の教科書で見たことのある単語であまり認識はしていなかったが、改めて調べたら本当に白人と見間違えるほど、African American の特徴が少ないことに驚いた。
    構成が面白く、パートごとで視点が変わっていくが、後半はぐちゃぐちゃに語り手が変わる部分は少し分かりづらかったが、別々に人生を歩んでいる人たちが交わっているところを出しているのかなと感じた。

  • Audibleで。ナレーターはShayna Small。

    話題の本。かつて白人の農場主から、解放奴隷となった息子に引き継がれた土地Mallardでは、黒人たちは肌の色が明るいことを誇りとし、よそ者との結婚を拒むことなどでその明るい肌を保ってきた。とはいえ白人が町に入ってくるとたちまち差別される立場になってしまっていることには変わりはないのだが。創始者の子孫である一卵性双生児のDesireeとStellaは、今は貧しい暮らしだが、色が白く美しいと評判だった。10代で町をでた二人は、その後一人は黒人と結婚して町の誰よりも「色が黒い」娘を連れて故郷に帰り、もう一人は白人のふりをして裕福な白人と結婚し、娘も自分を当然白人と信じて育つ…。

    日本にも差別はあるし、黒人差別もあるが、アメリカでの黒人の立場やレイシズムの問題というのは、なかなか私にとっては理解しづらかった。今でも十分理解はできていないのかもしれない。黒人に対する暴力やそれに対する無関心・許容についても、正直Trayvon Martinのころは犯人が特に変な人なのかなという意識で、社会全体に広く潜んでいて、白人には見えないかもしれないが一皮むけばすぐそこにあるものなのだという感覚は数年前までなかった。本作で扱われるような、passingやcoloringの問題は特にわかりにくい。

    passingを扱うことで、同じ世界が黒人と白人にとってどれだけ別世界になりうるのかが、よそ者である私にも垣間見られて、言葉が適切かわからないがとても興味深かった。とはいえ、難しい社会派小説というより家族の大河小説でもあり、三世代の主に女性の人生の話でもあって、サスペンスもきいていてリーダビリティが高く、先が気になってどんどん読めた。

    思えばこれまで、英米の作品では白人作家の本を読むことが圧倒的に多く、アジア系は読んでも黒人作家の作品はほとんど読んでこなかった。イギリスのAndrea Levyは面白かった記憶があるけれど、気が付いたらToni Morrisonすら読んでないし…。

    読みごたえがありました。★4 +くらい

全4件中 1 - 4件を表示

BritBennettの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×