- Amazon.co.jp ・洋書 (32ページ)
- / ISBN・EAN: 9780618479542
感想・レビュー・書評
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「そう昔でもない日本でのこと。丘の上の小さな家に、おじいさんとその妻が暮らしていました。こどもはいませんでしたが、2人はお互いのことを"じいちゃんJiichan" "ばあちゃんBaachan" と呼び合っていました。」
と昔話ふうに始まるこのお話。主人公は桃太郎やかぐや姫ではなくこのじいちゃんばあちゃん。じいちゃんは若い頃から紙芝居屋さんをしていて、久しぶりに道具一式を持って自転車で街へこぎだしていく。
ばあちゃんはきびだんごではなく売り物の飴を作ってやる。
じいちゃんは昔を思い出しながら準備を始めるのだったが、街はすっかり近代化してしまっている。子どもたちを寄せ集めようと思ってもいない。
じいちゃんは昔を思い出す。そして、ひとりさびしそうな少年が紙芝居を見にきていたことを思い出す。お話を終えるとその少年は、飴も受け取らずに走り去ってしまう。ちょっと不思議な子。
「ぼくがその男の子でした」
その声で現実に引き戻されてみると、じいちゃんをたくさんの大人が取り囲んでいる。かつてじいちゃんのお話を聞いて育った人々が拍手をしている。なかにはテレビカメラマンもいる。
(この場面、日本の話なのに人々のリアクションが微妙に日本っぽくなくて笑えた)
家に帰ってみると夕方のニュースで自分の話を放送している。じいちゃんはばあちゃんに倍の分量の飴を作ってくれるよう頼み、明日も街へでかけていく気になるのだった。
紙芝居のフレームを借りてでこんなじいちゃんとばあちゃんの1日をとらえた絵本。じいちゃんが昔話を語り、そんなじいちゃんをこの絵本が語る。
じゃあそのフレームのこちらにいるのは誰だろうと考えてみたら、ニュース映像を撮影したテレビカメラだった。うーん、皮肉がきいてる。詳細をみるコメント0件をすべて表示