- Amazon.co.jp ・洋書 (40ページ)
- / ISBN・EAN: 9780670533282
感想・レビュー・書評
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絵が気に入って手に取った。
自然のめぐみと季節の移り変わり、そして生活のいとなみの循環を描いた絵本。
10月、「彼」は牛を荷車につないで街へ行く準備を始める。羊毛に、妻が織ったショール、娘が編んだミトン、家族で作ったろうそく、亜麻から作ったリネン、息子がキッチンナイフで削りだしたほうき。収穫したりんごに、じゃがいも、蜂蜜に、メープルシロップにカブにキャベツに……
彼が街へ向かう道中の絵がとても美しい。秋の紅葉と草の緑。彼がたどり着いたのはポーツマスの市場。彼は運んできたものをそこですべて売り払う。
おまけに、荷車も、自分が育てた牛も売り払ってしまうところに、小さな驚きがある。
彼は手にしたコインで、やかんを、娘には刺繍針を、息子にはナイフを、家族みんなにペパーミントキャンディも買う。
彼は時間をかけ、徒歩で来た道を引き返す。その間にも、街や景色は色を変える。
一家はまた、秋に市場で売るためのものを、作ったり、育てたりし始める。こうしてまた次のサイクルが、けれども去年よりもちょっぴり違うサイクルが始まる。雪が降り、春が来て、蜂が目を覚まし、りんごの花が咲き乱れる。
本作では人間の心理はいっさい描かれない。ただ行為だけが淡々と順をおって説明される。けれども一家が幸福であることがわかる。というか、もちろん一家それぞれが一喜一憂しているのだろうけれど、少なくとも幸福に見える、ことに意味がある絵本。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
0583
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季節の営みに寄り添って生きる家族の姿が描かれている。日々、丁寧に、ささやかな喜びを大切に生きること。その幸せに気づかされる1冊。
世田谷区立経堂図書館
657 words 35冊目/35,507 words -
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YL:2.5
語数:657