The Children's Book

著者 : A SByatt

• Chatto & Windus (2009年5月7日発売)

感想・レビュー・書評

[Withverneさんの感想 · 2016年4月21日]

1890年代初頭から第一次世界大戦までの、イギリスの田舎町に住まうある子沢山な一家とそれを取り巻く人々の物語。タイトルの"The Children's Book"は恐らく一家の稼ぎ頭である母親が児童書の作家で、子供達それぞれの物語を書いている事から来るものと思われるが、「子供向けの本」とは到底言い難い内容。作者がエクセル表で管理しないといけなかった程の膨大の数のキャラクターが、夢を追い、婚外恋愛、同性愛、近親相姦などの愛の坩堝に嵌り、第一次世界大戦の戦火に巻き込まれていく。一人一人の子供達の成長を追った大作の割にはエンディングは尻切れトンボだったので、ここまで書くなら最後まで描き切って欲しかった。湧いてしまった登場人物への愛着の行き場に困る。