アフガニスタンが舞台の話です。
―貧しく教養もないマリアムが、望まない結婚のためカブールへ連れて行かれたのは、マリアムがまだ15歳のときでした。
ラシードとの20年にわたる暴力に満ちた結婚生活に耐えていたある日、マリアムの運命と、年若いライラの運命が交差します。ライラがラシードの第二夫人としてマリアムとともに暮らすことになったのです。
ライラは爆弾テロで両親を失い、幼馴染への恋を忘れて嫁ぐことを余儀なくされました。
家庭内、そしてカブールの路地に満ちた終わりのない暴力に耐えながら、マリアムとライラはお互いにとって大事な存在となってゆきます―――
アフガニスタンで何が起こっていたのか、アフガニスタンでの人々の生活がとてもよく分かります。私は何も知らなかったんだなぁ・・・。胸が痛くなるほどせつない話、だけどこういう現実があちこちにあったということが事実なんだと思う。
とてもとてもつらい話、だけどマリアムとライラがお互いを知って仲良くなっていくところは明るく、希望に満ちた何かを感じます。マリアムが、つらく苦しい自分の人生を、やっと誰かと分かち合えた瞬間が、この本の中で一番美しい場面かもしれません。
自分で見たことも体験したこともないことを、本を通して体験できて、アフガニスタンは私にとって生々しい現実になりました。本を読むという行為は、別の人生を生きるようなものだなぁと思います。