丁度1ヵ月前に発売されるよりずっと前から話題になっていたPrince Harryの自叙伝。オーディオブックはPrince Harry本人の朗読ということで、15時間半という長さだけどオーディオ版を聴いてみることに。近年出版される自伝のオーディオブック版は、本人による朗読がお決まりになっている感じだけど、やっぱり自分の人生を書いた自伝は自分で読みたいだろうし、読者としても著者本人の声で聴けると(朗読がとてつもなく下手な場合は別だろうけど)もっと親近感が湧くよなぁ、と思う。
Meghan Markleと結婚し、イギリスを離れるだとか、英国王室を抜けるだとか、権利を手放すだとか、そういった話題がゴシップ記事としてネットを騒がせるようになるまで、私はPrince Harryのことは良く知らなかったし、特に気にしてもいなかったというのが正直なところ。でも数年前にNetflixでイギリス人パートナーと一緒に”The Crown”を観始めて(イギリス人である彼も知らなかった英国王室の色んな内情が知れて面白い)、英国王室やイギリスに関する歴史を学ぶようになって、「ほほう。なかなか興味深い」と思っていた矢先にこの自叙伝が発売され、せっかくだからと思い手に取ってみた。ロイヤルファミリーの一員としての生い立ちや、将来Kingとなる宿命である兄Williamの『予備 (Spare)』としての自分の立ち位置、母Dianaの死後にその事実を認めることが出来ず、『Mummyはパパラッチから逃れる為にどこかに隠れているだけ (Disappearance)に違いない』という幻想を信じようとしていたこと、そしてDianaの死後に更に過激になったパパラッチに常に追われてプライバシーもなく、気軽に女性と付き合うことも憚れ、真実から程遠いでっち上げの記事を書かれても打つ手がないという彼の状況が綴られる。大麻に手を出していたり、初体験の相手が年上の女性だった事を暴露したり、アフガニスタンでタリバン相手に25人もの命を奪ったことをさらっと告白したり…と、発売直後のレビューでは内容が物議を醸し出していた自伝だけど、本人はそれぐらい開けっ広げに話さないと自伝執筆の意味が無いと思ったんだろう。個人的には、Prince Harryが実際に英国兵士として戦争に参加していたのは知らなかったし、戦場で負傷した兵士達をサポートする活動を精力的に行ったり、アフリカで動物達を保護する活動に参加してそれにやりがいを見出していることも初めて知った。英国王室メンバーとして、自分が社会貢献出来る居場所を見つけるのは彼のメンタル的にもとても重要な様子。実際に、アフガニスタンから帰ってきてPTSDの症状に悩まされていたようだし、辛いことも沢山経験しているんだな…。
そしてネットでは、Meghanの言動がけちょんけちょんに非難され、何かある毎にPrince Williamの妻であるKateと比べられ、HarryがMeghanのせいで修復不可能なほど家族と仲違いしているというイメージが強い。そんな情報ばっかり報道されるから本当にそうなのかな、なんて思ってしまいがちだけど、Meghan関連のゴシップに対する世間の憶測はもちろん、彼が成長するにあたって報道されてきた内容のいくつかも全くのでっち上げだったという告白が載っている。Prince Harryがこの自伝で語る『真実』がもし全て本当の事で、ネットで飛び交うMeghanに対するバッシングの嵐に様々な手を打とうと模索するにもかかわらずHarryとMeghanがHarryの家族である英国王室のバックアップを全く受けることが出来ずに孤立してしまったのだとすると、あり得ないくらいに可哀想過ぎるし、身を守る為に意を決してイギリスを離れるという決心をするのは当たり前だよな…と思う。個人的にMeghanのことも全く知らないけど、Harryが語るMeghanとの馴れ初めは素直に可愛らしいと思ったし、本当に彼女もネット上の虐めの標的にされているのだとして、報道されているような彼女のビッチな言動は全くのでっち上げなんだとしたら…?? なんて思ったりして、本人朗読の自伝効果に踊らされてまんまとTeam Harryに所属してしまいそうな自分がいる(笑)「Harry側はイギリスでは身の危険を感じたから海外に移る決心をしたらしいけど、離れていても英国王室の業務はしっかり全うしようとしたらしいよ?でも王室側からの庇護を得られなかったばかりか、勝手に突き放されたんだって」と友達に話したら、「王室から退いてお金が無いだろうし、自伝はやっぱり金稼ぎじゃない? Harry側の同意無しに王室側から勝手に引導を渡されるなんて、そんなのあるわけないって!」と言われ、「え、やっぱりそうなのかなぁ。自伝の中身は盛ってるのか…?」と半信半疑になったりしたりして。これで兄Williamが自伝でも出そうものなら、Harryの主張とは異なるアングルから物事が語られるんだろうしなぁ(Harryは兄が自分に対して妬みを抱いていたに違いないというシーンをいくつか描写していたりするし)。と、結局読了後も、ゴシップ記事で報道される内容が正しいのか捏造されているのかわからないままだけれど、とにかく英国王室メンバーとして生まれてきてしまったPrince Harryの人生は本当に波乱万丈で、これから先も問題が山積みだろうなと思う。けれど、彼が運命の相手に選んだMeghanと、愛する子ども2人を守りながら家族一丸となってなんとか頑張って欲しいなと願うし、英国王室とも何らかの形で和解して平和に暮らして欲しいなと思う。それにしても、パパラッチなんて気にすること無しに好きな時に外出して、好きな事して、好きな人達と会って、好きな人生を送れる自分ってなんて恵まれてるんだろうか(自分でお金を稼ぐ必要はあれど)と、Prince Harryの鳥籠の中のような生活の描写を聴きながら考えた。なんだかんだで、平凡な毎日が一番幸せなんだよなぁ。