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Amazon.co.jp ・洋書 (368ページ) / ISBN・EAN: 9780857520180
感想・レビュー・書評
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Amazon ukで売れに売れていたので、気になってKindleに落として読んでみたのだが、これは本当にすごい!
驚くべきことに本書はS.J.Watsonの処女作なのだとか。
彼は小説の書き方をFaber Academyで学び、聴覚スペシャリストとしての病院勤務の傍らにこの本を書き上げたという。
小説を書く時間を作るためにパートタイムに降格したとさえいう。
しかし、世界30カ国以上で刊行され、その上映画にもなるのだからこれ以上の成功もないだろう。
ちなみに映画化権はリドリー・スコットが獲得したとか。
主人公のクリスティーンは、ある朝自分が見知らぬ男性の横で目覚めたことに気づく。
老いさえ感じさせるその男性の指には、古びたマリッジリングが...。
酔っぱらって、既婚者と過ちを冒してしまったの?
一切の記憶がない。部屋には見覚えがなくここはどこなのかすらもわからないばかりか、自分が誰であるかさえわからない。
パニックになってバスルームに駆け込むと、鏡に移っているのはもう若くはない中年の女性が。
自分はまだせいぜい20代のはずなのに。しかし鏡の中の中年女は間違いなく自分だ。
隣で寝ていた男性は、自分は彼女の夫ベンだと名乗り、状況を説明しはじめる。
彼女は47歳で自分の妻であり、29歳のときに事故にあい、そのときの怪我のせいで、記憶に障害を持っているのだと。
彼女の記憶は一日しか持たない。一晩眠ってしまうと、記憶は綺麗にリセットされてしまうのだった。
毎朝、夫のベンはクリスティーンにとって見知らぬ男性となる。
ある日、ベンが仕事に出かけた後、一人の医者が彼女に接近してきた。ナッシュと名乗るその神経医は、彼女に日記をつけるようアドバイスをする。
彼女は、ベンに内緒で自分の日記をつけ、前のエントリを読むことでこれまでに判明したことや起こった出来事を理解し始める。
一晩眠ってしまえば彼女は日記の存在すらも忘れてしまうので、ナッシュ医師は彼女に日記の存在を思い出させるために、毎日電話をするのだった。
日記には「ベンを信用しないで」と自分の筆跡で書かれている。
しかし、ナッシュ医師によれば長く精神病院に入院していた自分を毎日見舞い、献身的に愛し、自宅に連れ帰ったのはベンだ。
なぜ、自分は日記の存在やナッシュ医師に会っていることをベンに隠そうとするのだろう?
そして、そうした方がいいという気がするのはどうしてだろう?
読み進めていくごとに、一体誰を信用してよいのかわからなくなる。ベン、クリスティーンの親友のクレア、ナッシュ医師...
謎が謎を呼び、その秘密を知りたいがために、ページをめくるのをとめられない。実際にはKindleのカーソルだけど。
ミステリーやスリラーにおいて、記憶喪失というのは割と使い古された感のあるアイテムだが、この結末は本当に見事だと思う。
批評家の中には、きちんとピースが嵌まりすぎることを指摘する人もいるが、私は全然そうは思わない。お見事!の一言。
サイコスリラーでありながら、謎解きも同時に楽しめる傑作だと思う。
そのどちらかだけという秀作ならば、この世には星の数ほども存在する。だが、そのどちらのレベルもこれほど高いものはそうはない。
充分起こりうる「恐怖」として感じるとともに、記憶とは人間のアイデンティティにとってどれほど重要なものであるのかということを改めて感じさせる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
お話は最初からわざと違和感を持たせて始まります。どうもおかしいと。女の直感が正しいのか、記憶が正しいのか、自分の記憶に頼れないもどかしさを抱えながら主人公の自分を取り戻す旅がつづきます。それを疑似体験しているよな感覚に襲われます。そこが読んでいてこの本の魅力の一つだと思いました。
この作者はNHSでもともとお勤めだったそうで、イギリスの医療現場にいらしゃった経験からこのお話のプロットを立てたようです。
犯人はこの人だろうなあと疑いながらも、いろいろな場面で伏線が張られていくので、「うーん、やっぱり違うか?」と疑う。じゃあどうなるんだ?と最後まで引っ張られます。とちゅう、わざと読者にわかるようにヒントがばらまかれていきます。私が「あれ?」と思ったのは名前です。それもわざとだろうなと、よけいニヤリとしながら読み進めました。しかし最近いろいろ読みますが、みなさん次々いろんなお話作れてすごいなあ。素直に感服。
自分の記憶が朝起きたらなくなっている。そして自分の人生をまた一から構築しなくてはいけない。実際にそうなってみなければわからないかもしれませんが、そこをテーマにできあがった物語。何度も同じ記憶に立ち返っていきながら進んでいくのですが、読んでいてそれが退屈と感じさせません。すごいなあ。舞台はほとんど室内で登場人物も非常に少ない中でこれだけ話が膨らむなんて。読み終われば、「なんだやっぱりそうだったんじゃん。」と思わなくはなくても、それはhindsight。やっぱり面白かったです。
人間はうれしいことも、忘れてしまいたいつらいことも含めて自分で抱えて生きていくことがどれほど尊いことなのかということを教えられているようです。
S JWatsonの作品
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