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Amazon.co.jp ・洋書 (160ページ) / ISBN・EAN: 9781476731711
感想・レビュー・書評
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世界の動きをゲームに例えてみれば、何を思い浮かぶか。
哲学者のJames Carseによると、人間社会のゲームは、「有限のゲーム」と「無限のゲーム」という2つの種類がある。
「有限のゲーム」は、ゲームの参加者から優勝者を出すことが目的であり、そのためゲームのルールを変えてはいけない。「無限のゲーム」は、ゲームを継続させることを目的としており、人々が参加し続けてもらうことは重要である。そのため、「無限のゲーム」の参加者が認めてくれるように、ゲームが進んでいる中でルールを変えたり調整したりしなければならない。「有限のゲーム」は、決められた境界線の中で行われているのに対して、「無限のゲーム」は境界線自体が遊びの対象だ。
社会、演劇、自然、性行為、神話…。 Carseは2つのゲームの違いを様々な場面からひもとき、「有限のゲーム」の内なる矛盾を指摘してきた(例えば、「有限のゲーム」が存在する目的は、ゲームの終結に導く)。それを踏まえて、人間社会におけるゲーム感覚の大転換を呼びかけていた。
本書をはじめて読んだ時に、「何回も読み直すべき本だなあ」と思った。今日の世界はまさにCarseがいう「有限のゲーム」のロジックに縛られており、それ以外の発想はできなくなっていると感じたからである。「無限のゲーム」に関して、ルネッサンスはその一例と考える。「ルネッサンスとは1つの時期ではなく、1つの人間の集まりである。その集まりには、境界線がない。したがって、敵もいない。ルネッサンスは誰かと抵抗しようとしない。たとえあなたがその集まりの中にいる人でなくても、ルネッサンスを反対することができない。ルネッサンスはただ1つの「誘い」だから。その集まりに入ってもらうとする誘いだ」(第47節)。Carseはこういう。
短い一冊ですが、「有限のゲーム」のルールに巻き込まれている国際開発を考え直すヒントがたくさんあった。
(東京大学大学院新領域創成科学研究科 博士課程 汪)詳細をみるコメント0件をすべて表示
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