Creating a World Without Poverty: Social Business and the Future of Capitalism

著者 :
  • PublicAffairs
3.75
  • (2)
  • (2)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 33
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・洋書 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9781586486679

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • マイクロクレジット(低利子もしくは無利子での少額貸付)で世界的に有名となったグラミン銀行創設者ムハマド・ユヌス氏が執筆した本書。新しいビジネスの形「ソーシャルビジネス」をメインとした、世界から貧困をなくすための取り組みについて語られている。

    ソーシャルビジネスとは、資本主義社会では当たり前の利益追求をしながら、同時に地域社会の役に立つことに重きを置いた、ビジネスとチャリティーを融合した新しいビジネス形態のこと。本書内では、世界的大企業ダノンとグラミンがバングラデシュにて共同で行った栄養強化ヨーグルト事業が主に紹介されている。

    ユヌス氏は「施し」のような弱者救済には批判的な立場で、それは氏が、貧困から抜け出せないのはその人々に能力がないのではなく、貧困から抜け出すきっかけ(資金や機会)を得ることができず搾取され続けているからであり、施しは自助自立を奪ってしまうと考えるから。この指摘はもっともで、実際にダノンとの共同プロジェクトでは、「ヨーグルトで子供たちの栄養状態を改善し、地域社会に新たな雇用を創出する」というサイクルの一員になることで、人々が経済的にだけでなく、精神的な面でも自立し自信を得たことは想像に難くない。「人の役に立ちたいという想いは人間の根幹にある特質」と言っているように、皆がWIN-WINのビジネスができるのが人間的に理想なのである。

    貧困から抜け出せないのは「怠惰だから、能力がないから、努力してないから」と思われがちだが、貧困は社会的構造、特に資本主義によって人為的に作り出されたものであり、そもそも貧困が存在すること自体が「不自然」であるとユヌス氏は指摘する。だからこそ、資本主義社会に生きる我々も含めて、まず貧困が存在し続けているという不自然な状態を問題視し、取り組むべきだと主張している。「貧困と無力感はテロの温床になる」とユヌス氏が指摘するように、貧困問題は間接的に我々の生活にも関係しているのである。グラミン銀行がノーベル「平和賞」を受賞した理由も納得できる。

    ユヌス氏の主張は理想主義であるとの批判もあるようだが、我々が意識改革し、実現可能であると信じて明確な目標を持ちながら取り組まない限り、貧困を世界から無くすことはできないと思う。

  • 2022I034 335.8/Y
    配架場所:A4

  • マイクロファイナンスの創設者であり、ノーベル平和賞を獲得したユヌスによる本。

    マイクロファイナンスの思想的なバリューチェーンがすべて乗っている。
    何を思って、どうやって発想を転換し、いかにsocial businessをはじめたか。

    ほかの解説本と違い、創設者自身が書いてあるのでよくある客観的な分析に加えて自己の信念や思いを綴っているので読み応えがある。

    マイクロファイナンスの重要性よりも、この本は、民主主義は国家内においてのみみかけの最大幸福をもたらすことを考えさせられた。

    つまり、どこかの裕福な国での民主主義的選挙によって選ばれた為政者が行った政策の結果、仮にその国での最大幸福をもたらすとしても、その国以外の国家の民に対して決してプラスの作用をもたらすものではないということ。

    民主主義最高ーみたいなことが全世界で言われていますがよく考えるとその民主主義って達成不可能じゃね?国家を統制する絶対的な機関がないので(UNあぼーん)好き勝手に各国家が目的達成しようとすると結局軍事と経済がものをいう気がするんだなー。

    まったく本文と関係ねー

    原著英語だけど読みやすいので原著読むことをお勧めする。

全3件中 1 - 3件を表示

MuhammadYunusの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×