Educated: A Memoir

  • Random House (2018年10月30日発売)
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Amazon.co.jp ・洋書 (352ページ) / ISBN・EAN: 9781984854858

感想・レビュー・書評

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  • 狂信的な父親の下で育った女性が、大学に進み、何とか心理的に独立を果たす、という話です。途中から、DVの兄の存在が大きくなり、DVの存在を全く認めようとしない父親と、追随する母親、そして主人公について流布された悪意ある決め付けなど、読んでいてつらくなる展開でした。そういった状況に悩んできた人にはフラッシュバックの可能性もあるかもしれません。でも、家族との関係、過去との向き合い方を考えさせてくれる本でした。
    英語のレベルとしては、単語はやや難しかったですが、文章はシンプルで読みやすかったです。

  • これまた、2年前くらいに話題書だったのになかなか手が伸びなかった本。今年こそ読もうと思ってたから、年末までに読めて良かった。

    読む前は、『とある家族が両親の主義に基づいてハーミット的生活をしていて、その中でまともな教育を受けてこれなかった子どもが最終的に教育を受けた視点から過去を振り返る回想録的サクセスストーリー』なんだと思っていて、まぁ言ってみればその通りなんだけども、実際に読んでみると、それよりももっと宗教の力、そして家族感が深く絡んでくる話だった。両親が熱心なモルモン教徒で、山の上にある家庭内では特に、Y2K(2000年問題)の到来を恐れて食品や燃料を貯め込んだり、政府が提供する学校での教育や、現代医療を拒絶したり、子ども達に肉体労働をさせる父親の発言・行動は絶対。そしてそれにただただ従う母親。子どもを学校に通わせる代わりにホームスクールをしようとする人達がいるのは知ってるけど、この両親は別に教科ごとに教科書を使ってしっかり教えるわけでもなく、数学や生物なんてものはもってのほかで、歴史や地理さえもまともに教えない。でもそれがなぜか一般教育よりも勝っていると本気で思い込んでいる。それに加えて病院に行くことがイルミナティに染まることだ、なんて考えている人が子育てをするとこんなことになってしまうのか…という、ジワジワとした怖さがある。数人いる兄達の一人は、妹である著者を肉体的・精神的に痛めつけることで快感を得るような奴で、そして最終的に、血のにじみ出るような努力の末、筆者がケンブリッジ大学院で学ぶようになった後、勇気を出してそんな過去を両親に打ち明けた結果、筆者が兄に対してそんな事を言うのは悪魔に取りつかれたからだと家族から絶縁されてしまう状況に陥ってしまい、そのせいで学問が手につかなくなるほどの鬱の症状やパニック障害に苦しむことになる。このエキセントリックな家族と全く関係がない私からしてみれば、「筆者はなんでこんな家族とは完全に手を切らないんだろう…」と悶々としながら読んでいたけど、子どもの時からずっと洗脳状態にあったら、いいように言いくるめられて、「自分が悪いんだ」って思い込んでしまうものなんだろうな。そんな環境で育った筆者が、17歳で短大に通い始めてから10年後にケンブリッジ大学院で学ぶようになって、博士号を獲得するまでになるなんて本当に本当に偉業だし、そうして”Educated”された彼女の視点から見た自分の家族の姿は本当に歪んでいたんだろうと思う。誰かの体験記、としてこの本を読むのは簡単だけど、実際にそれを生まれた時から体験していた本人にとっては、本にさらっと書かれた何十倍も辛かったと思うし、何十倍も努力したんだろう。それに比べて自分は本当に恵まれた環境で育ててもらったんだなと改めて思う。そして、子どもと両親の関係性が描かれた本を読むたびに思うけど、子育てをしている友人達は本当に凄いなと感心してしまう。幼少期に体験することって、その人の人格形成にダイレクトに関わってくるんだもんなぁ。

    自分を悪魔扱いする両親には信じてもらえず、父親に雇われている為に経済的にしがらみがある兄姉4人からも絶縁されてしまった筆者だけど、経済的に自立している兄1人と弟1人 (ちなみにこの2人も博士号持ちの"Educated") には理解してもらえて良好な関係を築けている、という事実には心が救われる。読み終わってスカッとする本じゃないし、逆になんだかずしんと重いものを感じてしまうけど、学問で知識を得て視野を広げることと、自分の可能性を信じることの大切さ、そして信仰心を間違った方向に極めてしまうことの怖さをじわじわと感じることが出来る一冊でした。読めて良かった。

  • 教育とは、家族とは、というテーマをすごく考えさせられる本だった。
    親=絶対、という環境で育っていて世の中で起きていることに無知になってしまった主人公はTylerというお兄さんの勧めで大学進学を決めて、家族や人間関係、自分の信念に葛藤しながら生きていく話。

    ずっとShawnというお兄さんからのハラスメントや虐待に耐えながら生きてきた主人公や周りの女性のことを考えると胸が痛んだ。
    家族の安全よりも政府を信用しないという強い信念を持った父によって様々な事故が起きるが、リアルな怪我の状況に震え上がってしまった。そもそもモルモン教は知っているけど、詳しくは分からなかったが、このような世界があるということに驚いてしまった。
    環境によってどれほど人生が左右されてしまうのかが物語っている。
    大学進学を勧めたTylerという兄がいて良かった…って感じてしまう。すごく学者に向いていて、ケンブリッジ大学やハーバード大学で勉強する機会を握って、学者としての道を切り開くことができたのは良かったな…と感じた。
    いくら教育を受けたとしても、家族との繋がりや洗脳からはなかなか抜けることができず、精神的に苦しんだ主人公はとても強くて感動したと同時に今いる自分の環境に感謝する機会になった。

  • Audible。 ナレーターは信頼のJulia Whelan。

    モルモン教の中でも極端なサバイバリストで、ある意味家族内教祖的な父親の信念で学校へも病院へも行かず出征証明書もなく育った主人公が、進学を契機に外の世界とつながり、教育のおかげで両親とは違う価値観の存在に気づいて人生を切り開くまでのメモワール。
    アメリカではオバマのおすすめ読書リストに入るなどかなり話題になった本で、洋書ファンクラブでも紹介されていたし、以前から読みたいとは思っていましたが、最近邦訳(村井理子さんの訳なのでそれも読みやすそう)が出てあちこちで情報を耳にしたのを契機に読みました。
    両親、特に父親や長兄が本人にしたことは完全に虐待なのだけれど、家族の難しいところで、父親はおそらく精神疾患もあって自分の信念を本当に信じていて、娘のために良かれと思っているし、信念を少し曲げて歌の才能ある娘が地元で舞台に出るのを許したり、愛情を感じられる瞬間もあって切ないし怖い。長兄の方が典型的な虐待者ですごくmanipulativeなのだけれど、父から守ってくれたこともあったり。こういう「いい時」があるから虐待から逃げ出すのって難しいんだろうなと実感させられました。

    独学でブリガムヤングには入れたくらいだし、入学後もホロコーストもきいたことがなければ試験の出題範囲の内容を覚えておかなければいけないことも理解できないほど「常識」を知らなかったのに、優秀な成績で卒業できるくらいなので、地頭の良い方なのだとは思いますが、わからなくてもできないかもしれなくても我慢強く勉強を続ける姿勢に頭が下がるし、恩師や友人が助けてくれるのも、きっとご本人に助けてあげたくなる魅力のある方なんでしょう。縁を切った家族にもできるだけフェアに描写しようとする姿勢(編集もあるでしょうが)も好感が持てます。

    邦訳版訳者の村井理子さんのインタビューで、原文には少し論文長の硬いところがあると書かれていて、確かに、同年代の友達もほとんどいない中で聖書などの古い文章ばかり読んで育った人で、その後もかなりの部分本で勉強している学者さんなので、そりゃそうだなと思いますが、個人的には生育環境の割にすごくわかりやすくて面白い文章が書けるのがさすが教育の力なのかなと思いました。Julia Whelanの生き生きしたナレーションもプラスだったのかもしれません。

    親子関係について、教育について、すごく考えさせられるし、アメリカの広大な土地や宗教観が生んだ独特の事象としての面はそれはそれで興味深いので、止められない感じですごく面白く読みました。
    著者に幸あれ。★4つ。

    追記
    途中大きな事故にあっても病院にもいかずに結構どっこい生き延びているところなどで作り話じゃないかという話が出たと読みましたが、医師の立場として、「治療を受けないとかなりの確率で死んでしまうと思ったのに、患者さんやご家族が拒否して、結局危ない橋はわたったし後遺症は残ったけどまあまあ助かった」経験は何度かあるので、疑いは持ちませんでした。そもそも医師にかかっていないので初期の病状を重く見積もっていたり記憶の補正もあったりするかもしれませんし、それは嘘とは違うので。最近は出版社の裏付け取りもかなりしっかりしているようなので、記憶違いがあるとはしても作り話ではないんじゃないかな。

  • 東京の丸善で購入。
    Idahoの、Mormon一家にて劣悪な環境下で育ち、このままここで一生を終えると考えていた17歳の少女Tara。兄の一人で、家を出てまともに理系の大学に進んだTylerのアドバイスを受け、学校に一度も行ったことがない状態からBYUに入学。Cambridgeに進み、HarvardではPhDを取得できなかったものの、戻ってきたCambridgeにてPhD取得。
    一家は2派に分裂し、とどまり続けたグループと、家を出て大学に進んだ3人(兄2日人とTrara、Educated)。
    なんというか、すさまじかった。Dad・・・というか、あの一派から完全に縁を切れて良かった。テーマとして、ただ教育というのではなく、切っても切れない家族という呪縛を、最終的には接点を持たなくなることで受け入れることができたというところに、一面的ではない機微が示されていて、深みがあり、人に薦めたくなる。

  • タイトルとあらすじで予想していたのは、人は教育で変われる、どんな環境でも成功できるなどの自己啓発。しかしこのタイトルには二つの意味があって、一つは予想したように教育によって人生は変わるということ、そしてもう一つは、刷り込まれた「教育」(洗脳とも言える)は時に地獄であるということ。

    主人公の両親は強烈な毒親だ。
    父親の考え方に反発して距離を置く者、逆えず従って生きる者。主人公はその間で葛藤する。
    父は毒親、母はその父に共依存状態、兄の一人はモラハラDV
    別の兄の勧めで大学に行くことを選んだ主人公は、これまで当たり前と思ってきた世界が異常であることを知るが、それでも染み付いた洗脳から抜け出すのに長い年月を必要とする。

    家で古い本で少し勉強していただけで大学、ケンブリッジそしてハーバードへの留学と苦労したとはいえ経歴が凄すぎる。強烈な家庭環境と信じられない学歴で多くの人がこの話はフィクションではないかと疑ったのもわかる。
    しかしフィクションであろうとなかろうと、描写は鮮烈で家族について考えさせられることが多い本だった。

  • うわ、結構昔の話かと思ったら全然最近の話なんだもん、びっくりしちゃった。いや、そういう人がいるってのは理解してたけど体験に基づくからなんか物凄いリアリティ。独学でケンブリッジとハーバードってのも凄いよな…。

    宗教とか社会保障とか地域社会とか教育の価値とか色々考えるけどやっぱり家族の部分が一番強いメッセージかなあ…。でも虐待だよね…どっかでもうちょっと公的に介入できないのかなってほんと考えちゃった。

  • 正直何度か挫折しそうになりました。
    面白くないからとかではなく、何度も彼女や家族に起きる悲惨な事故の描写があまりにもリアルで生々しく、グロかったので、、、

    でも、本当に最後まで読んでよかったと思います。
    家族の存在が一人の人間にどれだけの影響力を持つのか。一方で教養もまた、一人間の人生を一転させてくれるほどすごい力を持っていることを痛感しました。

  • 家族にも認められず、どこにも居場所がない主人公が頑張って自分の道を切り開いていく姿がかっこいいし、本当に強い人だと思う。読んでよかった。

  • 2021年に読んで一番面白かった本!

  • 育った環境がいかにその人の性格、考え方、行動に影響するか、がよくわかる本

  • 途中で退屈してしまって読了できず。。。今の私に合っている本ではなかったようなので、またいつかトライします。

  • 家族とは、信仰とは果たして何なのだろう。
    凄まじい暴力と虐待、心身の支配。
    教育によって自らの人生を掴み取る筆者
    それでも家族を捨てられず愛を求めもがき苦しむ筆者の悲痛。
    苦しくて苦しくて何度も本を閉じた。
    でも最後まで読もうと決めていた。
    読めて良かった。

  • アメリカの一部を知るうえで貴重な回想録だと思う。父親の権威や家族観、女性観などは日本の田舎でも通じるようなもので、世界共通のものであると認識した。家族と社会との両方の関係の中で揺れ動く主人公の純粋な思いには共感でき、同じようなことは、家族との関係だけでなく、ありとあらゆる組織と個人の関係で起こりうることであると感じた。個人が勉強を続けることで、ある種のドグマ(新しいドグマはどんどん生み出されている)から解放されることが必要であると再認識した。

  • Audibleにて。運転しながら聴くことが多いのだが、memoireは耳から情報を入れる形式と相性が良いと感じる。
    著者がmormon survivalistである両親から受けてきた仕打ちは、客観的にみれば虐待・ネグレクト以外の何物でもないのだが、親たちは確かに本人達なりの愛情を子どもに注いでいるつもりだったのだろう。明らかに異常な生活(吹雪の中、一家が乗った車で高速を爆走して大事故を起こす、指の切断等のリスクもあるスクラップ回収の危険な仕事に子どもを従事させる、など)をしているのに、時折挟まれる親からの愛情?エピソードが辛い。でもそれより胸が締め付けられるのは、著者がさらに強い無条件の愛で両親に応えようとしてしまうこと。そしてハーバードやケンブリッジ大で教育を受け、外の世界を知ってからも尚、家族から逃れるという選択をし、実行するまでの壮絶な道筋。家族という結びつきがもつ意味、転じて呪いとなってしまう可能性について、一児の親として考えさせられた。

  • アメリカは本当に面白い国。トランプ流を彷彿とさせる政府への不信からのホームスクーリング。いわゆる「お勉強」はしない中で育った、6人の兄弟姉妹のうち、3人がPhDを取り、3人は学校を知らないまま家で仕事をしている。こんなホームスクーリングが、21世紀に入った今でもリアルにある一方で、ホームスクーリングからの若者たちが、ケンブリッジ、ハーバードなどの最高の知性が集まる学校へと羽ばたいていく。何だか「生身」のダイナミックさを感じる。著者の家族の捉え方も「生身」過ぎる故に苦しむんだろうけど、表面的にやり過さないからこそ本質をついているとも言えるのかも。教育、学校って何?って考える時、思い出したい本。

  • 本を読んで泣いたのは小3以来。壮絶な映画を見ている気分だった。一番は父親の毒親レベルがやばいんだけど「ショーンやばい」✖️5回くらい思った。そして一家で障害残るか死ぬかってレベルの怪我しているのになんだかんだ毎回生き残っててある意味すごい生命力の家系なのかなとも思った。(まさかお母さん胡散臭い治療がガチで良いのかと頭をよぎるほど。)しかも貧乏だったのに大儲けする会社を経営するようになるしいろんな意味ですごいなこの一家。私タラのこと本当に尊敬します。彼女には幸せになってほしいなって心から思った。

  • どう受け取ったらいいのか分からない。

    これは大学教育の素晴らしさを示すものでは無く、誤った信条に基づく両親に育てられた筆者の、徹底して家族の物語。だからこそ苦しいし、体系だって受け止めることが難しい。

  • サバイバリストの家庭で育ち、父の方針で学校に行ったことがなかったタラが、自らの意思で大学に進学し、博士号を取得するまでを描いた自伝。一見サクセスストーリーかと思いきや、タラが次第に父の教えに疑問を抱き父や家族と疎遠になっていく様子を読むのは辛かった。離れていく娘を心配し気遣う一方で、これまでの生き方や考え方を曲げることができない両親。父や兄からの物理的・精神的支配から逃れ、ようやく自由を手に入れたタラは、家族や故郷に後ろ髪を引かれる思いの自分と葛藤する。愛する人と信条を異にする時、何を守るべきなのか。

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