エッセーの楽しみ

著者 :
  • 岩波書店
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本棚登録 : 8
感想 : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000002028

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいてね、なんか泣きたいのに涙出ない、ぐっと、あと一歩のところでどうしてか出ない、そんな本だった。
    多分、この感覚を共有できる人は、なかなかいないんじゃないかなと思っている。
    いや、分かる、だから話そうよ、って声をかけらることがあるけれど、なんか違うなという本能は当たっていて、しゃべらなくてよかったといつも思う。

    繰り返す、繰り返す。
    だから私は生きづらいんだ。

    最初の方で、終生大事にしている風景というものが出てくる。
    そこに東京の景色はないとあるんだけれど、まぁ私は東京近郊の出身で、帰るところというものがさほどなく、故郷というものにむしろあこがれを持っているのだけれど、そんな私も確かに東京の景色は死ぬ間際になんて思い出さないだろう。(もちろん今住んでいるところも思い出さない)
    私が思い出すのは、夏の青い空と白い雲だ。
    鳥なんていない、雲だけが浮かんでいる空。

    知らない景色なんだけれど、仰向けに倒れて空を眺めて死んでいく、本当に死ぬ間際にも、このどうしてか覚えている景色を思い出すのだろうか。

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著者プロフィール

阿部昭
一九三四年、広島県に生まれ、神奈川県藤沢市に育つ。東京大学文学部フランス文学科卒業。五九年、ラジオ東京(現TBS)に入社し七一年まで勤務。六二年、「子供部屋」で文學界新人賞を受賞し、作家デビュー。七三年、『千年』で毎日出版文化賞、七六年、『人生の一日』で芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。八九年死去。主な著書に『大いなる日』『司令の休暇』『短編小説礼讃』などのほか、『阿部昭集』(全十四巻)がある。

「2022年 『新編 散文の基本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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