エーコの文学講義―小説の森散策

制作 : 和田 忠彦 
  • 岩波書店
3.50
  • (3)
  • (2)
  • (6)
  • (0)
  • (1)
  • 本棚登録 :57
  • レビュー :3
  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000002110

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 物語がもっと好きになった!とても楽しい散歩だった。

    1 森に分け入る
    2 ロワジーの森
    3 森のなかの道草
    4 可能性の森
    5 セルヴァンドーニ街の奇怪な事件
    6 虚構の議定書

    だめだ…『シルヴィー』を例にとった、
    馬のいない馬車のところ(p118)でどうしても笑ってしまう。

    やさしい語りだけど、
    意味をしっかり把握しながら読み進めるのが難しくて、
    何回も繰り返して読んだ。
    だけど面白かったなあ……面白かったー。

    ダンテの『神曲』やクリスティ『アクロイド殺し』みたいに、
    よく知られている作品も例として出てくるし、
    エーコが遭遇した出来事の話も面白い。

    色んな思考実験をやってみる章もある。
    これだけ楽しんで物語論について理解を深めることができるなんて、すごいなあ。

    なによりエーコが「本を読むことは遊びだ」と言ってくれている事が嬉しかった。
    確かにそうなんだ、
    本を読むことはこんなに楽しいんだから。

    これから少しずつ内容を書き取っていこう。

  • そもそもエーコの作品すら読んだことのない自分のような者にとっては、このハーバード大における文学講義の内容など、とても理解できる内容ではなかった。
    文中に引用されている先品すら読んだことがないのに、その一部を詳しく説明されても、どんな論証になっているのか見当すらつかなかった。
    こういう本は、大学院等で文学研究をしている専門家が読むべきもので、一般の読者が読むべき代物ではないというのが個人的感想である。

  • 2009/7/5図書館にて借りる
    2009/

    p123
     パリはペレックやエーコの小説が描いているより、はるかに複雑な空間なのです。ところが物語世界を散策することは、子どもにとっての遊びと同じ機能を担っています。子どもたちは、人形やおもちゃの木馬や凧を使って遊びながら、物理の法則や、いちかは真剣に取り組まざるを得ない行動といったものになじんでいくものです。同様に、物語を読むことも、遊びなのです。この遊びを通して、過去・現在・未来にまたがる現実世界の無限の事象に意味を与えることを学ぶのです。小説を読むことによって、わたしたちは、現実世界について何か真実を言おうとするときに感じる不安から逃れるのです。
     これが物語の治癒機能であり、人類が原始以来、物語を作り続けてきた理由なのです。それはまた、神話の持つ最高機能、すなわち混沌とした経験にかたちをあたえる機能でもあるのです。

    p202,203
     さてわたしたちは、小説が現実の人生を侵蝕することによって、歴史がどのような影響を蒙るかを見てきたわけですが、それではこうした現象にわたしたちはどのように対処するべきなのでしょうか?このわたしたちのささやかな小説の森散策が、私たちの時代がかかえる深刻な悲劇の代償になるなどと考えていただきたくはありません。とはいいながら、わたしたちは、小説の森を散策したおかげで、小説という虚構が現実の人生を侵食するメカニズムを理解することができるのです。その結果が、ときには、ベイカー・ストリート巡礼といった愉快で罪のないものだったりもするわけです。ですが時として、現実の人生を、夢ではなく、悪夢へと変貌させてしまうこともありうるのです。こうして読者と物語、虚構と現実との複雑な関係を考察することは、怪物を産み出してしまうような理性の眠りに対する治療の一形式となりうるのです。

全3件中 1 - 3件を表示

ウンベルト・エーコの作品

エーコの文学講義―小説の森散策はこんな本です

エーコの文学講義―小説の森散策を本棚に登録しているひと

ツイートする