- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000002509
作品紹介・あらすじ
長生きの幸運が明日も明後日も、来年も再来年も、ずっとつづくはずはない。毎日がもったいないような気がして、夫婦たがいに言葉をかわす。「お早う」には「さあ今日も元気で」という心、「お休み」には「明日も楽しく」の願いがこもる…。女優嫁業をすっぱりやめ、東京の住いにも別れをつげて湘南のマンション暮しの筆者が、その日その日の思いをあたたかく綴ります。暮しの楽しさ、人間への愛に溢れた待望の書き下ろしエッセイ。
感想・レビュー・書評
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図書館。トットちゃん!で沢村さんが出てきて、執筆シーンがあったので、彼女の著作を読みたくなって。
p120あたりの、沢村さんのお母様の「恥ずかしい」に対する考え方に、ドキリとした。私は恥ずかしいという気持ちを、何に対してもつのか。
◆引用
p20…人それぞれ、みんな、どこかいいところがあるんだからね。先生にちょっとほめられたくらいで、特別だなんて、いい気になるんじゃないよ、みっともない」 母は本気で怒っているようにみえた(中略)特別という言葉が嫌いになったのは、あの時からのような気がする。
p53…気をつけなければいけないのは、お互いに相手の弱点に触れないことー-例えば、齢とともに見苦しくなる顔かたち、とか、日ごとにふえるもの忘れなど、気がついても口にしない。うっかりすると、つまらないことで、大切な相棒を傷つけてしまうことがあるから……。
→大切な相棒を、身近だからこそうっかりにも気をつけて、大切に。私も心したい。
p97…お互いにたすけあう人間の愛情を、シュニッツラーの『盲目のジェロニモとその兄』やO・ヘンリーの『最後の一葉』など、たくさんの本が教えてくれた。西鶴・一葉・緑雨から、ドフトエフスキー、チェーホフ、ゾラなど……文字通りの乱読だったけれど、おかげで、一生懸命、考えたり悩んだりして、どうにか自分なりに生きてきた私に、すこしも悔いはない。 若いときから、読書の習慣が身についたことを、いまも、何よりの幸せ、と思っている。
→私はそこまで読書にのめりこんではこなかった。第一子出産前から、少しずつ、読書量が増え始めた。育児や生活の合間をぬって、これから悔いはないと思えるよう読んでいきたい。そして、幼少時代によく読み聞かせをしてくれた母に改めて感謝。娘らにも、本との豊かな出会いがあるよう、さりげなくサポートしていけたらと思う。2017/12/15 -
久しぶりに心洗れる本にぶつかった。
なんでもない光景の中に、
素敵な情感が 流れる。
こんな風に淡々と生きていけるならば
本当に死んでも悔いはない。
何もしないことは 悪いことではない。
自分の楽しいと思うことをして、心を慰める。
あとは もって生まれたその人の 運しだい。
つまりは それだけの福分ということ。
ヒトそれぞれ みんな どこかいいところがあるんだからね。
おまえのしたことは決して悪いことじゃないよ。
口運 つまり食べ物についての運
「あんまり 長く 続きすぎた 男性社会は
互いの激しい争いのために だんだんと歪められ、
生き残るために 平気で 他人を傷つけるようになってきた。
よいことは自分のせい。
悪いことは他人のせい。
と、己を甘やかすその浅ましさを、
女の人たちは じっと見ていた。」
著者プロフィール
沢村貞子の作品





