- Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000002554
感想・レビュー・書評
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191115*読了
美容院で読んだダ・ヴィンチで紹介されていて、心に引っかかるものがあり、図書館で借りて読みました。
旦那さんが亡くなって、貞子さんが旦那さんとの思い出を振り返って、旦那さんに語りかけながら書いている随筆。
お互い離婚して一緒になって、駆け落ち同然で東京で暮らし始めて…。今では信じられないような出来事の連続で…。
すべての文章から貞子さんが旦那さんのことを心から愛しているのが伝わってきました。ここまで人を愛せることが素晴らしいし、そんな人と出会えて、しかも最初は別の人とお互い結婚していたのに一緒になって50年添い遂げるなんて。胸打たれるしかない。
旦那さんは寡黙で、頑固で、物言いが厳しい時もあって、本当に貞子さんに愛されてよかったね、と思える人。笑
でも、すごく貞子さんの気持ちが分かります。愛する人のことは無条件に愛せるもの。
最後に、旦那さんが書いた文章を亡くなってから発見し、その文章が全文載っていたのですが読みながら泣きました。普段、何も言わなかった旦那さんからの「ありがとう」、本当に嬉しかっただろうな。
旦那さんが亡くなってからの貞子さんの暮らしや、二人が亡くなった後は骨を混ぜて海に撒いてもらうと決めていることなんかも、もう全てが愛!
どんな小説よりも愛が伝わる現実。二人はきっと天国でも寄り添って幸せに暮らしていることでしょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
20年前に母に貸した本
実家で見つけたのでまた私の手元に戻ってきました。
渋いの読んでたな…と思わず苦笑。あの頃も、胸に詰まる思いで感動し、母と共有したくて無理矢理、読んでと母の寝室に置き去りにした事を思い出します。
夢が叶ったり、手に入れたいものを手に入れたとしても、きっと、どこかに不幸というか嫌な部分を誰もが背負うのが人の人生(その大きさや感じ方は人それぞれ)不幸や苦労を苦にしないで、それはそれとして自分の人生に受け入れて、「それでも自分は幸せを掴むことができた」と神様に感謝し、謙虚に亡くなった相手の人生を、自分の幸せとして、その後の人生を全うしたところが、沢村貞子さんのすごいところ。なんだろね。20年たって読んでもやっぱり号泣しちゃいました。 -
あぁ。
なんという 本 なんだろう。
50年と言う 連れ添った 人生を
このように ポジティブに ありのままに
受け止めることが できるというのは。
人を好きになるということの
楽しさを とことん 味あわせてくれる。
不思議な パワーがある 言葉の運び。
殿様 らしく 威張っている だんな。
それを、ひたすら 立てる 妻。
日本には こんな良い文化が、脈々と
息づいているのだった。
あぁ。ホントに いい本だよ。 -
20130504読了
エッセイ「わたしの台所」を読む前に、著者の人柄にふれたいと思って手にとった。女優であり随筆家でもある著者が、映画評論家の夫・大橋恭彦氏の死後、夫が書きかけた2人の生活の記録を書き継いだ本。女優って華やかで目立つ商売のイメージだが、沢村さんは家庭に重きを置いていた。日々の食卓に工夫を凝らし、夫を立てる。親しい友人にまで「女房に食わせてもらっている」と言われる夫の心中を思いやり、「それでも家の中で『でん』としていてくれてありがたかった」と言う、明治女の強さがかっこいい。片方が亡くなって残された1人がこんなふうに相手を想う話には哀しく切なくさせられるけど、2人で積み重ねてきた年月の愛おしさも伝染してきて、あたたかい気持ちになる。著者は1996年没、享年87歳。 -
「別れの言葉」にジーン。最近私もエンディングノートを書こうかな…などと思っていたり。どちらが先に逝くかわからないけれど、その日まで寄り添って生きてゆければそれだけで充分幸せなのかな…と思わずにはいられない1冊。