かたちのオディッセイ: エイドス・モルフェー・リズム

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000003360

作品紹介・あらすじ

高度に抽象化されたの大きな地殻変動の中で、イメージの時代とも言われる現代、問われるべきはではないか。の展開として、フラクタル幾何学・散逸構造論といった新しい科学の先端的動向を踏まえつつ、形態・リズム・色の問題に根源的な考察を試みる。ゲーテ、空海、フッサール、ウィットゲンシュタイン、イェンニ等との思想的対話を通して、哲学・芸術・宗教の地平を貫通するを打出したダイナミックな思索と発見の旅。

感想・レビュー・書評

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  • 副題には「エイドス、モルフェー、リズム」とある。エイドスはイデアとしての形、哲学でいう形相である。モルフェーは「動的な」形で、モルフォロギーすなわち「形態学」ということばは、ゲーテが創った。本書では、それをリズムがつないでいる。ここに本書の大きな特徴である。
    リズムの重視は、「五大にみな響きあり」という空海の言にもつながる。リズムはもともと耳や運動系から発するものだと評者は考えるが、脳においてはまさに「共通感覚」が成立し、いわば「形がリズム」となる。他方、形が空間に依存し、リズムが時間に依存することを考えれば、これらが哲学本来の主題であることは明瞭であろう。

  • 哲学の本というと、なにか専門的なことを学ばねばならないような気がするけれども、実際には哲学への入り口はどこにでも開いているのであって、要は、その入り口に気づくかどうかなのだ。この本は、私たち一般人が興味のあることや知っていることが随所にちりばめられていると同時に、和洋中の思想思索とそれらが繋がっていることを教えてくれる。たとえば『ファイナルファンタジー』のことが出てくるなんて知ったら、やっぱり引き込まれるでしょう。
    もちろん、難しい部分もあるけれど、そんなところは読み飛ばしてもぜんぜんかまわない。読み終えたとき、何かひとつ視点が高いところに来たような気がするのがうれしい。

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著者プロフィール

1925年、東京都出身。哲学者。明治大学名誉教授。東京大学文学部卒業後、文化放送に入社。その後、明治大学法学部教授を長く務めた。西洋哲学をはじめ日本文化・言語・科学・芸術などに目を向けた現代思想に関する著書が多数あり、主要著作は『中村雄二郎著作集』(岩波書店、第1期全10巻・第2期全10巻)に収められている。山口昌男と共に1970年代初めから雑誌『現代思想』などで活躍、1984年から1994年まで「へるめす」で磯崎新、大江健三郎、大岡信、武満徹、山口昌男とともに編集同人として活躍した。

「2017年 『新 新装版 トポスの知 箱庭療法の世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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